学生時代、世界史が好きだった私は、長年トルコに憧れていた。
会社員になって〇年。年末年始休暇をまるまる使って、トルコ一周?格安ツアーに申し込んだ。ほぼ弾丸か…というくらい強行軍だったが、めぼしい観光地を網羅したツアーで満足感が高かった。ちょこっとトルコの魅力を紹介したい。
トルコの観光名所と言えばカッパドキア。
ここは巨大キノコの谷の中を歩いているようで、結構楽しい。この巨岩を掘って作ったホテルもある(希望者は宿泊できた)。気球に乗って上からカッパドキアを見るツアーもある。(高所恐怖症なので希望せず…)。
文明が栄えたトルコと言えば、遺跡。



草原の中に、突然こういう遺跡が現れる。この石畳を昔の人が歩いていたんだなあ、などと想像が膨らむ。完成された遺跡を見るのもいいが、こんな廃墟?の石に座って、2千年前の人々の暮らしをぼんやりと考えるのもいいですよ。
動物好きな私は、どうしても犬猫に目が行ってしまう…。


行く前は、トルコはイスラム教の国だから野犬はいないだろう、と思っていたが、意外にもあちこちに犬がいる。しかも中型犬。かわいいが野犬なので、さわらないでおく。遺跡とネコはよく似合うことを発見。
いやしかし、本当に良いツアーでした。イスタンブールから出発し、くまなく観光地を巡るバスツアー。行きたかったところはほとんど網羅。巨大彫刻がごろごろ転がるネムルート・ダーだけが含まれていなかったが、次回またトルコに来るための楽しみにとっておこう。
12月31日。我々はアナトリア大平原をバスでひた走っていた。行っても行っても大平原で、トルコは本当に大きな国だということがよくわかる。日本時間で新年になると、バスの運転手さんがクラクションを鳴らして祝ってくれた。不思議な気持ちだ。ユーラシア大陸の西のはずれで、極東の新年を祝う。
ツアー客は家族連れもいたし、一人旅の歴史好きの人もいた。皆さん海外旅行慣れしていて、出発時間には遅れずきっちり集合する。話を聞くと、トルコは以前から旅行したかったがとにかくドでかい国なので、効率よく回るには一人旅よりツアーだと思った、と皆さん口々に言う。私も同感。
「この国に住んでみたらどんな感じなんだろう」とすぐに想像してしまう自分としては、この駅を見たときにツッコミを入れたくなった。トルコも結構地震の多い国じゃなかったっけ?頭でっかちな駅ですな…。
トルコを一周し、ようやくイスタンブールに戻ってくる。ここは私の住みたい町の一つ。
イスタンブールの、ヨーロッパ側とアジア側を見下ろすアパート(そんなものがあれば、だが)で3か月くらい生活してみたい、というのが私の夢だ。そんなチャンスはなかなか巡ってこないと思うので、ただの夢に終わっているが…。
先を急ごう。ゴージャスなブルーモスクはさすがの美しさ。イスラム建築の幾何学的なデザインは、数学的な美を追求した感じ。イスラム教は成立時には科学的な宗教と言われていたらしいが、確かに他の宗教と比較するとそんな感じもする。


イスタンブールの市場見学もツアーに含まれていたが、まったくの迷宮なので道順を覚えられず…。市場を歩くのは楽しいが、広すぎて迷子になりそう。イスタンブールに住むことがあったら(夢のまた夢だが)、この市場も心置きなく探検してやるぞ!と誓う。
日本へ帰国するツアー最終日。トルコに心を残して帰国するのは寂しいが、たっぷり堪能した年末年始。ガイドさん、運転手さん、ありがとう!
イスタンブール空港に到着。何やら巨大な荷物が空港内にあふれかえっている…。
一つ一つの荷物が巨大すぎ、びっくり。誰の荷物?と思ったら、ハッジに行った人の荷物だそうで。
ハッジ(Hajj)とは、イスラム教徒が一生に一度は実施するメッカ巡礼のことだ。日本だとお伊勢参りみたいなものだろうか?日本は国内旅行で済むが、イスラム教徒の場合は、サウジアラビアのメッカまで巡礼に行かなければならない。つまり、サウジアラビア国民以外のイスラム教徒にとっては、ハッジとは海外へ行く巡礼の旅なのだ。
一生に一度行けるかどうか、という旅行なので、少なくない費用がかかる。多くの善男善女は、ハッジ実施のために長年かけて貯金をする。ようやくハッジが出来ることになると、親類一同や友人がお餞別をくれる。なので、メッカへ巡礼へ行ったらお餞別をくれた人にお土産を買って帰る。行きも帰りも大変な、人生の一大イベントなのだ。
ちなみにインドネシアでは、一生に一度のハッジが出来たイスラム教徒は、名前の前にHj.が付けられる。「ハッジをやったわよ!」という証明だ。敬虔なイスラム教徒である証明であるし、ハッジを実施する財力があるという証明でもある。これが名前の前に付いているとリスペクトされるだろうなあ。しかし上には上がいるもので、1度だけでなく、複数回ハッジを実施する人もいる。お金を出して親をハッジに行かせる孝行息子・娘もいる。
私はこういう、人々の日々の営みを見るのが好きだ。これからこの巨大荷物を持ってそれぞれの村に帰り、サウジアラビアで購入したお土産を近所の人に配るんだろうなあ。国籍が違えど他国の人と一つのことを共有できるのは、うらやましい気もする。それが宗教の力なんだろうか。
イスタンブール空港で自分の庶民的な荷物をチェックインした後、空港内のベンチに座っていたら、窓の外は雪が降り始めていた。トルコにも雪が降るんですなあ。ツアー中は晴天に恵まれ、ポカポカ陽気の日もあったけど、確かに朝晩は冷え込んだ。
見ているうちに、だんだん雪が吹雪いてきた。このあと、なぜか経由地のウズベキスタンでも吹雪いていた。しかし、トルコの遺跡の上に降り積もる雪、見たかったなあ。