オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

神々の住む地 ディエン高原

中部ジャワの観光スポットについて、もう一つ記事を書く。

ジョグジャカルタは町中にいくつも見どころがあるが、ボロブドゥール遺跡のように、ジョグジャカルタ市外にも観光地がある。ここで私がどうしても見たかったのが、ディエン高原のアルジュナ寺院だ。

 

インドネシアに来た時からガイドブックやら新聞やらで情報を仕入れ、行く機会を虎視眈々と狙っていた…が、すぐには実行に移せなかった。ディエン高原がジョグジャカルタから片道4時間もかかる山奥?に存在しているからだ。簡単には行けないよ~。

ディエン高原ツアーをやってる観光会社に連絡しまくり、やっとこさ行けるぞ!と思ったのに人が集まらず、ツアーが催行されないなんてことも数知れず。そういうわけで、情報を集めながら「いつか行きたいな」と待ち焦がれておりました。

 

しかし…その機会はなかなか来なかった。インドネシアを去る日がだんだん迫ってきて、どげんかせんといかん!なんでもいいからツアーに申し込もうと、目を皿のようにして情報を探しまくり、ようやくディエン高原に行くツアーに申し込んだ。(しかし、ふたを開けたら、やっぱりそんな遠方の遺跡を見に行こうなんて酔狂なヤツは私一人だった…)。

 

ツアーで訪問する場所は3つ。ワルナ湖、シキダン噴火口、そしてディエン高原。

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アジサイが咲いていました

ワルナ湖の「ワルナ(warna)」とは、インドネシア語で「色」と言う意味。なんでも、水中のミネラルで湖の色が刻々と変わるという。この日はあいにくの曇天で、ぼんやりとした色でした。

この地域はジャガイモが特産品らしく、湖周辺でもジャガイモを素揚げにしたものを売ってました。おばちゃんがイモを揚げているのを見ると食べたくなり、「イモ一つ」と頼むと、おばちゃんはどうやら暇らしく、ニコニコしながら「あんた、ジャカルタ出身?」と聞いてくる。ジャカルタ出身じゃなく、外国人なんだが…。

 

次はシキダン噴火口。

車はぐんぐん山の中へ入っていく。この辺りは火山がたくさんあるらしい。すでに標高は2000mくらいで、上着を持ってきて正解だった。

駐車場に入る前に、箱入りマスクを持ったおじさんが車に近づいてきた。硫黄のにおいが強烈なので、マスクを販売しているらしい。

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シキダン噴火口。

さすが火山国インドネシア。ぐわらぐわらと熱湯が噴き出ている。遊歩道は煙で真っ白。これだけ熱湯が噴き出ているなら、温泉卵は?と思ってしまうが、どうやらそういう発想は日本人だけみたいで。

噴火口を見ている間に雨が降り始めた。慌てて私も駐車場に戻ろうと、土産物ストリートに入った。噴火口から駐車場に戻る数百メートルの距離に、びっしりと露店が並んで土産物を売っている。なんだか分からない植木、子供用おもちゃ、ジュース、バッタもんの服や靴、あ、ここにもジャガイモが売っているぞ。

いくら特産品でも、ジャガイモの袋をかついでジャカルタに帰れないので、イモはあきらめる。そういえば、日本にジャガイモが伝わった時、じゃがたらイモとかジャカルタイモとかいう名前で伝わったんじゃなかったっけ?

 

最後の目的地、ディエン高原へ。

長年?(でもないか)の初恋を実らせたような(って、大げさ?)気分。やっと念願のディエン高原だ!!!!!

と思っているうちに、先ほどの小雨がどんどん激しくなり、ついに土砂降りに。なんてこったい。

ディエン高原に到着したら、まさにバケツをぶちまけたような大暴風雨になった。車の中で縮こまる運ちゃんと私。窓を打つ大雨。途方に暮れる。近場なら「今日はあきらめよう」となるが、ツアー代金を払ってまで、しかもジャカルタから遠路はるばる?飛行機を使ってディエン高原まで来てるんだよ。ここで尻尾を巻いて逃げられるか(←もはや意地)。

 

ちょっと雨脚が弱まってきたように思える一瞬があったので、運ちゃんは「いまだ!ササっと行って帰っておいで」と私を送り出す。運ちゃんも早く仕事を終えて、ジョグジャに帰りたいだろうに。すまんな。

駐車場のすぐ脇から遊歩道が始まっているので、そこからスタート。大きな傘を持ったインドネシアカップルが歩いている。私も「ササっと」観光を終わらせようと、速足で遊歩道を抜ける。

 

ディエン高原には5つのヒンドゥー教寺院があり、マハーバーラタ聖典にちなんで、「アルジュナ寺院」と名付けられたそうだ。創建は809年。その当時は、神に仕える神官や巫女さんが大勢この地にいたのでしょうね。夕方にこのアルジュナ寺院を訪れると、遺跡に黄昏の光が満ちてとても感動するとかいう話もどこかで読んだ。しかし、今、私は傘なしで濡れネズミ。それどころじゃあない。神様、助けてくれ。

 

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今は公園として管理されている

突然視野が開け、目の前に遺跡が出現する。

 

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雨のアルジュナ寺院

雨の降り方が、さらに激しくなってきた。しかし、遺跡が素晴らしくて「ササっと」見て帰る、なんて感じではない。うう~写真が撮りたい。

 

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寺院の門?

私は日本でも神社へ行くのが好きなんだが、最近は行きたい神社に一度で行けたためしがない。行こうと思った日に予定が入ったり、途中で道を間違えて引き返したり。ようやく神社に行けた、と思うと、土砂降りになったりする。

寺院訪問時の雨は神様が喜んでいる証拠だ、とよく言われるが、アルジュナ寺院の神様、大歓迎しすぎじゃないですかね…。

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素晴らしい彫刻

この神様も、インドっぽいお顔ですね。

 

じっくり見たいが、いかんせん、すさまじい土砂降り…。黄昏の光どころではない。インドネシア人の女子高校生2人組も傘を差しながら遺跡を見ていたが、あまりの豪雨に音を上げたようだ。上の写真の門らしき穴?に、一時的に避難する。なるほど。私も彼女たちを見習って、寺院の穴に入ることにする。神様、ありがとう。

 

しかし。

寺院の入り口らしき穴にもぐり込んで雨のやむのを待つが、全然やみそうにない。インドネシアにも台風ってあるんですかね?

運ちゃんを待たせていることもあり、早く帰らねば。でも、どうしよう?

さんざん逡巡した挙句、あきらめて大雨の中を飛び出すことにする。

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動物らしき彫刻

遊歩道に戻ろうとしたら、公園脇の田んぼから大量に土砂と泥水が流れ込み、大氾濫。なんじゃこりゃあ~!なんとかして水が引かないかな、とうろうろするが、田んぼのあぜが決壊。さらに濁流が遊歩道に流れ込む事態に。もはや、周りを見渡してもインドネシア人観光客はいない。思い切って濁流に足を突っ込む。うわっ、深い!!

と、私が悪戦苦闘している間、運ちゃんはお菓子を食べながら車の中で待っていた。くそお。

 

ようやく駐車場にたどり着き、一路ジョグジャへ。4時間の道中、通る町々も下水があふれ出し、大洪水。ジョグジャのホテルに到着して、やれやれ…と思いながらホテルの自室のドアを開けたら、朝は何ともなかった洗面所の水道管が壊れ、部屋の中が水浸しに…。水難の一日だった。