オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

ジャカルタの地下鉄開通

文章のみの記事が続いたので、今日は写真多めの記事にしてみる。

 

インドネシアの首都ジャカルタは、世界でも有数の渋滞都市だろう。交通渋滞がひどくて会議に遅れそうになった大統領が、道路上で車を降りて歩いた、なんて逸話があるくらいだ。

 

たとえばスカルノ・ハッタ国際空港からジャカルタ市内までは、通常は車で1時間程度、とされている。(同空港は実はジャカルタ市外のタンゲランという町に存在している。日本の「成田東京国際空港」が、東京ではなく千葉に存在しているような感じかな?)

私は夜明け前に自宅を出て、国内便に搭乗して出張することが多かったが、早朝だとなんと30分くらいで空港に到着する。逆に、私の同僚は夕方にジャカルタに到着し、自宅まで3時間以上かかった、という体験をしている。渋滞がひどすぎて、時間が読めないのだ。

 

そんなジャカルタに地下鉄が完成した!待ってました!

写真を見ていただければ想像つくと思いますが、日本主導で日本式地下鉄を導入したもの。車両や工事に始まり、運転手やメンテナンス担当の研修まで、すべて日本式。

スナヤン駅から地下鉄に乗ってみる。駅はこんな感じ。

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地下鉄入口

歩道もきれいに舗装された。私がジャカルタに来たときは、道がデコボコだったり穴が開いていたりしてました。急速に先進国の顔になってきたな。

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左は券売機と窓口。右は構内の店舗

駅にお店が入っているとは知らなかったが、コンビニが入っていたのでとてもありがたい。上の写真はハンバーガー店。

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これは駅構内の案内板。しかし、ほとんど何も書いてないな…。

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駅の近隣地図

駅の近隣地図。Masjidとはモスクのこと。Grejaとは教会のこと。日本人的感覚からすると、公共施設だのデパートだの銀行だのを地図に記載しそうだが、宗教施設を記載するあたり、インドネシアっぽいのかも。

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シンプルな路線図

これが地下鉄路線図。まだ路線が一本しかない。駅は13個、トータル約16キロだそうで。

東京都くらいの人口を抱えるジャカルタ(首都圏人口は3,000万人)としては、渋滞解消にはこれでは全然足りない。東西南北に地下鉄ネットワークが張り巡らされ、地下鉄でどこでも行ける、という状況になれば、もっと多くの人が地下鉄に乗るだろうな。そうすればようやく、悪名高い渋滞も解決されるかも。

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改札

改札の向こうに人が押し合いへし合いしているのは、地下鉄開通直後にこの写真を撮影したからだ。駅の係員も慣れない(インドネシア初の地下鉄開通だから、慣れていないのは仕方ない)業務に戸惑いながらも頑張っている。人々も一目地下鉄を見よう、乗ってみよう、という熱気にあふれていた。

 

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ホームへの案内板

MRTとは、Mass Rapid Transitの略。ジャカルタ都市高速鉄道のことだ。

階段を降りて行くと、ホームだ。

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地下鉄ホーム

ベンチがない(あえて置かなかったようだ)ので、地べたに座り込むインドネシア人たち。日本じゃホームに座り込む人はいないが…。

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地下鉄到着。

列車の車体には派手な広告が…こういう方面は、インドネシアは得意分野。

車内を何とかして撮影しようと思ったが、うまく撮影できず。車両は日本製だけあって、列車はとてもきれいで近代的。乗客が皆、イスラム教の被り物をしている以外は、東京の地下鉄に乗っているような感じです。

 

実は開通直後、実際にお金を取って営業開始する前に試乗期間がありました。無料で乗れるとあって、多くのインドネシア人たちがつめかけました。

試乗したインドネシア人たちは「未来から来た電車みたい!」「東京にいるみたい!」と大はしゃぎ。地下鉄が地下から地上に出る場所があるのだが、インドネシア人乗客たちは電車が地上に出た瞬間、「おお~!!」とどよめいていた。

 

若い国だし、これから発展する自国の未来に対する期待で一杯の彼らを見ると、古い国(日本)出身の自分としては、「いいなあ、これから発展する国は明るいなあ」とうらやましくなった。

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終点のブンダランHI駅

路線の最も北にある終点、ブンダランHI駅で降りる。この駅は在ジャカルタ日本大使館のほとんどすぐ隣にある。このエリアは高級ホテルや百貨店が並ぶ、ジャカルタの一大繁華街だ。

路線の南の方にある駅周辺の土地は、まだまだ十分開発されていない。多分、地下鉄を利用して下車する人が増えれば、だんだん南部の方も企業や店舗が増えて、にぎやかになっていくんだろう。

 

これで、ひどいときは車で2時間くらいかかっていた距離が、地下鉄だと10分くらいで行けるようになった。地下鉄様様ですよ。

ジョコ大統領も

「『会議の時間に間に合わなくてもいいや、どうせ渋滞するんだから』とのんびりしていたインドネシア人も、地下鉄を利用することで時間を厳守出来るようになる。そうして我々の生活や労働習慣が変わり、時間のロスが防げれば、やがて先進国の仲間入りができるだろう」

と言っていた。

そうだよね。交通渋滞のせいで、インドネシアのビジネスは年間何十億円もの損失が発生している、と言われているし、大統領ですら、渋滞で会議に間に合わず道路を歩かされるわけですからね…。

それにジャカルタは、大気汚染も深刻だ。時々新聞に、うっすらと黄色いスモッグがかかったジャカルタ上空の写真が掲載されているくらいだ。地下鉄ネットワークが出来上がれば、大気汚染も緩和されることが期待されている。まさに一石三鳥。まだまだ長い道のりですけど…。

 

インドネシアにはJam karetという言葉がある。ジャムは「時間」、カレットは「ゴム」と言う意味だ。つまり「ゴム時間」。ゴムのように伸び縮みする時間、ということだ。時間にだらしないインドネシア人のことを皮肉った?言葉だ。

私もインドネシア人と会議や打ち合わせをするのに、待たされることがよくあった。しかし渋滞を見越して早めに家を出てくる、きっちりしたインドネシア人もいる!!なので、うっかりインドネシア風に染まってはいけない。ゴム時間を見習ってはいかんのだ。

しかし時間に追われている日本人から見ると、時間を支配しているインドネシア人がうらやましく感じられるときもある。

 

話は地下鉄に戻る。

乗ってみると便利だし、タクシーより安いので、私は何度も地下鉄に乗車するようになった。ある週末の朝、地下鉄に乗ろうと駅へ向かった。すると地下鉄入口で、サングラスをかけたおじさんが、スマホで自撮りしながら実況中継していた。何をやってるんだろう?と気になり、失礼にならない程度に聞き耳を澄ませていると、どうやらおじさんは地方出身者らしかった。

「みんな、聞いてるか!俺は今、ジャカルタに来ているぞ!これが開通した、例の地下鉄だ」(といってスマホを駅入り口にかざす)

「どうだ、すごいだろう(って、おじさんの手柄ではないが…)。立派な駅だな!いいか、お前たち、これがジャカルタの地下鉄だ!」

おじさんは得意げになって地下鉄の実況中継をやっている。話の内容から推測すると、地方在住の家族に向けてジャカルタの地下鉄を案内しているようだった。

そのあと、どんな説明をするのか楽しみだったが、おじさんはかなり長々と駅前の説明をし始めたので、私はあきらめてそこを離れ、駅の階段を下りた。ずっとおじさんの実況中継を聞いているわけにも行かないし。でも、インドネシアの人々がわずか16キロの地下鉄を、とても喜んでいることが分かったので、ちょっと嬉しくなった。