オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

国連で働く 3

 

思いがけなく国連勤務の記事が長くなり、すでに「3」に入った。このテーマで書きたいことが結構ある、といことは、ここで働くのがやはり楽しかったんだろうと思う。今日は少し真面目な記事を書く。

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ご存じのように、マンハッタン島は東のイースト川(そのまんまだ)、西のハドソン川に挟まれている。ニューヨークの国際連合本部イースト川沿い、つまりマンハッタン東側にある。調べたら、国連ビルが所在する土地はアメリカ合衆国内にあるものの、国連全加盟国が所有する「国際領土」なんだそうだ。

 

国連ビルの中には、各国から贈られたオブジェが飾ってある。日本は鐘を寄贈したのだが、なかなか渋い選択だ。アラブ諸国の寄贈品は、金(ゴールド)細工の工芸品だ。アラブ諸国の展示品が多く飾られるコーナーは、金銀キラキラ(銀はないか…)まばゆく輝いている。とてもアラブらしい。こうやって各国の寄贈品を見るのも楽しい。

私は知らなかったが、国連本部はどうやらニューヨークの観光スポットの一つらしい。ビル内のお土産屋さん含め、国連ビルには観光客が結構来るのだ。

 

【同僚たち】

我々の部署は、本部ビルの20ン階にあった。

この部署の一番上のトップはバングラデシュ人だった。その下に2名の中堅幹部がいて、彼らが私の直属の上司たちだった。その下のヒラ職員、つまり同僚たちはイタリア人、ペルー人、コロンビア人等10名ほど。小さな部署だった。私の働いていた部署には日本人職員はいなかった。

 

ある日、インド人上司に「お前は大丈夫か?」と聞かれたので、「何がですか?」と聞き返した。彼曰く、職場に同じ国籍の職員がいないと辞めてしまう人がいるのだという。マジですかい。

ま、確かに同じ国籍の人がいたら心強いかもしれないけど。

 

自分が働く部署に日本人がいない、とわかった時は、「そんなもんか」と思った。

こういう職場なのだから、同僚が外国人なのは仕方ない。同僚が全員日本人なんてことは無理だし、違う部署にでも日本人の知り合いがいれば十分だ。

 

この職場に他の日本人職員がいないことを私がさほど苦にしていないことが分かり、上司はほっとした様子だった。辞められたら困ると思っていたようだ。(辞めそうに見えたんだろうか?)

 

私の職場は職員同士の仲が良く、誰かの誕生日を祝ったりお菓子を分け合ったり、和気あいあいとした雰囲気だった。他のインターン仲間に聞くと、「部署が大きすぎて職員同士の交流がない」というところもあるようだった。日本の会社と変わらないんですね。

 

【残業】

職員の皆さんは定時になると速攻帰宅します。時間内に仕事を終わらせられず残業をしている人は無能、という雰囲気があった。だから残業をしないで済むよう、自分の周りに能力の高い優秀な部下を集めるわけです。優秀な部下を集められる人脈があるということは、こういう職場で生き残って出世するには重要なんだろうな。

 

私なぞは日本の習性?が抜けきれず、最初のうちは「残業はあるんですか?」「残業しましょうか?」などと言っていたが、「残業?そんなもんする必要があるのか?」などと同僚たちに言われ、「あ、そういうこと?」とようやくこの職場の雰囲気を理解した。彼らの感覚としては、決められた時間まで仕事をしたのだから、帰宅して何が悪い?ということなんだが。ごもっとも。

 

翌朝。皆さん出勤すると、昨夜アフターファイブに何をやったのか、という話に花が咲く。

「妻と〇〇レストランへ行って、そのあと映画を見たよ。いや~あの映画は面白いね」

「娘の欲しがっていた消しゴムを買うために、ブルックリンの文具店へ行った。学校で流行ってるらしいよ」

「早起きしてフィットネスクラブへ行った。〇キロ痩せるのが目標なんだ」

 

自慢なのか何だか分からんが、ちょっと笑ってしまう。これってリア充(古い)を見せつけてるのかな?ま、「俺は毎日残業だ。すごいだろ」アピールよりは健康的だし、家族思いだが。

 

私は帰宅したら大学院のオンライン夜授業(結局、夏の間も授業を取ることにした)をやらねばならず、宿題や課題をこなすのに必死で、ゆっくりする暇がない。予定を詰め込み過ぎなのは日本人だからか?ゆっくり過ごしている同僚たちを見ると、あくせくしている自分がアホらしい。

 

おまけに、良かれと思って「残業しましょうか」と申し出ていたら、「残業大好きなのは日本人と韓国人だけだよ」と笑われてしまう始末。はいはい、すみません。

 

ある日、定時で帰ろうとしたら、珍しくインド人上司が居残っていた。

「先に帰っていいよ、僕は少し残業するから」

と言われ、彼の残業の内容も私が手伝えるようなものではなかったので、ありがたく帰宅した。

すると、次の日にヤツが

「僕は昨日、夜7時近くまで残業したんだ!」

「すごいでしょ、夜7時まで働いたんだよ!」

と出勤する職員にいちいち自慢していたので、失笑を抑えられなかった。お疲れ様でした。

 

【肌感覚】

仕事の分担上、インド人上司はよく会議に出ていて不在がちだった。モンゴル人上司は比較的オフィスにいることが多かった。

私たちのオフィスの窓は、なんと開けることができた。日本だと20数階のフロアの窓が開くことはないと思うが、なぜか国連ビルの窓はちゃんと開けることができた。エアコンで室温が調節出来れば、窓を開ける必要などないと思うんだが…窓が開いたら危険、という感覚が日本人と違うんだろうか?

 

この窓を職場の誰かが開けていると、イースト川からぐおおお~と風が吹きあがってきて、職場がものすごく寒くなることがあった。

「誰だ、窓を開けたのは!」

と寒がりな私は窓を閉めるようにしていた。しかし、しばらくするとモンゴル人上司が

「今日は暑いよな~窓を開けよう」

と独り言を言い、窓を開けるのだ。

 

しばらくすると室内が寒くなるので、今度はガーナ人秘書が

「寒いから閉めましょう」

と窓を閉める。するとまたモンゴル人上司が

「暑くなったな。窓をあけようか」と窓を開けるのだ。寒いんだっつの。

 

気づいたら、モンゴル人VSアフリカ人(ザンビア人、ガーナ人)&私(日本人だが寒がり)の戦いになっていた。寒さに強い国VS寒さに弱い国のバトル、というべきか。モンゴル人上司がオフィスを離れると、私は速攻窓を閉めるが、ヤツは戻ってくると「暑いなあ」といって窓を開けるのだ。くそお。

 

エアコンの室温設定も似たようなものだ。各職員の育った環境が異なるせいか、各自が「快適」と感じる室温が全然違うのだ。私はどちらかと言うと、暑いのは何とかなるが寒いのは耐えられない。モンゴル人上司は多分逆なんだろう。寒がりの私はモンゴルでは働けないな。