オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

ココ 2

(昨日の続きを書きます)

西アフリカの伝統的な食事は、大皿料理だ。

大皿料理という呼び方は誤解を招くかもしれない。高知県のような、大きなお皿におかずを盛り付けてふるまうイメージだと、少し違う(なぜなら、あれは大皿料理以外のおかずや主食もありますよね)。西アフリカは、主食もおかずも一つの大きなお皿に盛りつけて、家族全員がそのお皿を取り囲み、それを食べるというものだ。セネガルのチェブなどは、大皿がいいかも。

 

ニジェールへ行ったとき、現地の方のお宅を訪問した。夕飯をご馳走になったが、やはり大皿にご飯とシチュー(電気がない家で、うす暗くておかずがよく見えなかった)だった。地面の上に置いた一つの大皿を全員で取り囲み、右手で食べるというスタイル。西アフリカでは大人が先に食べ、残りかすを子どもが食べる、という家庭が多い。子ども用に別の大皿に食事を盛り付けて、子どもと大人が別々に食べる家庭もある。

 

私が気になる習慣があった。

どの国も、食事時間に突然来客があった場合、お客さんにも家族と同様、食事を提供するのが習わしだ。(というより、うまいことを言って食事時間に来た訪問者を追い払う文化がないみたいだ)。

 

例えば、6人家族がいたとする。そこへ突然2人の来客があったとする。その2人も食事に合流するのだが、かといって8人分の料理を準備するわけではない。6人分の食事を8人で分ける形になるのだ。

大皿に盛りつけたごはんとシチューを8人で取り囲み、手で少しずつ取って食べる。当然、一人分の量が少なくなる。

それだけじゃない。子どもが大人の食べ残しを食べるスタイルの家庭では、大人の来客が多いと当然残り物が少なくなる。そういう家庭へ行くと、私はいつも「子どもの食事が十分あるんだろうか?」と心配になる。大人の都合なのだが、子どもは少ない量の食事を子ども同士分け合って食べている(偉いね)。大人になると、どうして自分中心になっちゃうんですかね。

 

ところで今日の本題だが、コートジボアールのある村で、私は美容院にお世話になった。

 

話は脱線するが、まともな仕事もない、こんな田舎の村で、しかも読み書きも出来ないような女性たち(学校へ行かせてもらえるのは男子だけ)が、どうやって生活をするのか、どうやって生存するのか、という点が気になるところだ。

答えはというと、野菜を栽培し収穫できた野菜の行商をして稼ぐ、自宅で揚げ菓子や小袋入りジュースを作成し売り歩く、人通りの多い路上や長距離バス乗り場で、野菜、ゆで卵、揚げ菓子などを販売する、といった小規模ビジネスをしている女性が多い。アフリカの女性は本当に働き者だ。

 

私が行った「美容院」は、美容師さんの自宅の庭が店舗だった。美容師さんと言っても、免許があるわけではない。手先が器用だとかそういう理由で、口コミで客が来るタイプの「美容院」だ。しかし現金収入がない村で、手に職があるのは強い。家事の片手間にやっているとはいえ、そこそこお客が来ている様子だった。

 

美容師さん宅の庭で、私は髪を編み込みにしてもらった。これはかなり時間がかかる。現地の人も数日がかりで髪を編み込みにする。数日の間は仕事をしながら、家事をしながら、ちょいちょい美容院に来て編み込みをやってもらうのだ。なので、村や町では「あ、あの人、美容院で編み込みやってもらっている途中なんだな」という女性を時折見かける。頭の半分しか編み込みになっていないので、それと想像つくわけです。

 

私はあまり時間がないので、髪の編み込みを一日で終わらせてもらった!(わがままですみません)

普通であれば、こんな大変な作業は一日で終わらない。早く終わらせるために、美容師さんはアシスタントとして?村の女性を1人呼び、自分と一緒に作業をさせた。呼ばれたその女性は主婦ではなく、村の売春婦だった。

「そういう職業もあったか」

と、妙なことに私は感心してしまった。仕事の無い村で学歴の無い女性がどうやって生活するか、ということがずっと不思議だったからだ。この女性は当然、独身だった。

このアシスタント姐さんがいい感じの女性で、男性の言うことになんでも従うタイプではなく、自分の意見をはっきり持っている方だった。きびきびとして小気味いい。彼女が日本語をしゃべったら、いなせな芸者さんみたいな感じなのかな。美容院が忙しい時にアシスタントをして、小銭を稼いでいるんだろう。

 

で、美容師さんは主婦なので、家事をしなければならない。昼食時間なので髪の編み込みを中断し、食事の支度を始めた。私も暇なので、お手伝いを申し出る。(客が手伝うのも妙だが…)。私も髪が3分の1くらいしか編み込みになっていない妙な外見なのだが、ここは日本じゃないので別に問題ない。

私たち二人が料理を始め、アシスタント姐さんは自宅へ帰った。すると、しばらくして見知らぬ男性が美容師さん宅へやってきた。何やら美容師さんと話をしている。

美容師さんは男性を食卓に着かせ、黙って一人分の食事を彼の前に出した。男性は礼を言って食べ、そのまま帰った。

「あの人は誰なの?旦那さんの友達?」

男性が食事を済ませて帰った後、私は美容師さんに聞いてみた。すると美容師さんは苦笑いしながら答えた。

「よくうちへ来る人。特に友達と言うわけじゃないけど。」

なのに食事を食べさせるのか。と私は不思議に思った。日本の感覚だと、友人でもない人に食事を与える必要はないような気もする。

美容師さんは続けた。

「あの人は、ココよ。」

ココ?って何?と聞くと、美容師さんは笑った。

「食事時を狙って人の家に上がり込む人のことを言うのよ。あの人は毎日、食事時になると、村を回って誰かの家を訪問するの。」

食事時を狙って他人の家を訪問するヤツがいるのか!

しかも、そんな人に対する名称があるわけだ!

鷹揚に見えるアフリカ人でも、やっぱりそういうヤツは腹立たしいわけですね。

なるほど…。

 

しかし、ここでちょっとコートジ文化を垣間見た気がした。「ぶぶ漬けで申し訳ありませんけど」なんてことは言わず、とりあえず食事を出すわけだ。

食事狙いと分かっていながら、どのお宅もちゃんと食事を提供するなんて…ちょっと日本では考えられないな。だって、食料が十分ある日本とは違って、アフリカは大干ばつや不作もあるわけです。それなのに(腹の中はどう思っているにせよ)食事を提供する習慣なんだな。

 

そのあと、食事を済ませたアシスタントが戻ってきた。美容師さんと二人、夜10時までかかって編み込みを終わらせてくれた!!ありがとうございます…。

これだけ時間のかかった編み込みだが、髪を洗うときに地肌が洗えないのでかゆくて仕方ない。見かけは可愛いが、ファッションは我慢だということがよく分かった。