オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

南アフリカで車を運転する

 

昨日の記事にも書いた通り、南アフリカは車社会だ。

通勤も買い物も、車がないと何もできない。

南アフリカに到着後、まず私は中古車を探し始めた。

 

車社会なので、中古車ディーラーはたくさんある。

扱っている中古車は日産、トヨタ、ホンダといった日本車もあるが、プジョーシトロエンといったフランス車、フィアットアルファロメオといったイタリア車、フォード、キャディラックアメリカ車など、基本的に何でもある。

タタとかマヒンドラ?(名前忘れた)とかいうインド車も、安いので人気があった。

 

いくつも中古ディーラーを回ったが、なかなか良い車が見つからない。

いいなと思うと、事故車パーツをつなぎ合わせて作った車だったり。

あーあ、海外でしか乗れない車に乗りたかったんだけどなあ。

仕方なく、新車を買うことにした。

 

ホンダのディーラーへ行き、新車を購入することになった。

南ア人の同僚曰く、南アでは車の需要は常にある(そうでしょうね)ので、中古でも状態が良ければ高く売れる。

タタやマヒンドラといったインド車は新車でも安いが、中古になるとさらにガクンと値段が下がるらしい。

トヨタやホンダなら、買った時と同じくらいの値段で売れる、ということだった。

さすが日本車ですな。

 

(その後、南アを去るときに私のホンダを売ったが、買った時とほとんど同じ値段で売れた!)

 

話が前後して申し訳ない。車を買う前の話に戻る。

実は私は南アに来た時に、運転免許を持っていなかった。

「免許を持っていなくても大丈夫。問題ない」

と、南アへ行ったことのない人に安請け合いされたのだ。

 

信じた自分がバカでした。

車が運転できないと、南アではどこへも行けません!

 

というわけで、さっそく南アで免許を取ることになった。

免許取得にあたり、筆記試験と実技試験を受ける必要がある。

じゃあ教習所へ行くか…と思うところだが、南アには車の教習所はない。

自分で適当に?車の運転を覚え、実技試験に臨むのである。

アメリカと同じだ。

 

アメリカでは、ハイスクール(中高ですね)のグランドなどを使って、車の運転を教えるコースがある。

たいていの高校生は、親の運転する車の助手席に座り、見よう見まねで覚える。

次に、荒野?など人のいない場所で親に運転技術を教えてもらう。

それから実技試験を受けるのだ。

 

自力で?運転を覚えるあたり、アメリカとよく似てますよ。

愚痴っても仕方ないので、南アのイエローページみたいなもので自動車教習を探すと、あった。

週末から始めることにした。

電話して自宅に来てもらう。

 

ステーションワゴンに乗って現れたのは、中年の白人のおじさん。

「じゃ、その辺のスーパーへ行くか。駐車場で練習しよう」

という。

おじさんの運転する車の助手席に乗って、少し離れたスーパーへ行く。

南アは車社会だけあって、スーパーの駐車場が半端なく広い。

そこで練習する、というのだ。

スーパーの許可も取らずに、ええんかい。

 

スーパーにつくと、おじさんが言った。

「じゃ、ちょっとこっちに座って見ようか。」

こっちって?

と思う暇もなく、おじさんは運転席を降りた。

え…?もしかして?

内心びくびくしながら、私も助手席から降りる。

運転席に座れってことだよね。

 

おじさんと私は席を入れ替わった。

「じゃ、ちょっと運転してみて。」

は?

運転してみて、って?

私は心臓がバクバクした。そう来たか。

免許を持っている人には分からないかもしれないが、車を全く運転したことのない人が、海外で、しかも一般の車がたくさん行き来する場所で、急に運転させられるのはかなりの恐怖だ。

 

「私は免許を持っていないんですけど」

と抵抗してみる。

おじさんは不思議そうな顔をした。

「だから練習するんだよ。」

はいはい。分かりました。

 

しかし。

「ブレーキってどれですか?」

恥ずかしながら、そこから聞くしかない。おじさんは当然だが親切に教えてくれる。

 

しかしそのあとかなり長い時間、私はスーパーの駐車場だけでなく、路上にも出て車の運転をさせられた。

「いいか、南アフリカの運転免許試験は、縦列駐車と三点Uターンがポイントなんだ。」

と言って、それを重点的にやらされた。

三点Uターンは、3回切り返してUターンを完成させるもの。

後に日本で教習所に行ったが、これはやらなかったな。

 

こうやって実技試験のために、毎週末、とにかく練習をしまくった。

この「教習所」の職員は数人いるらしく、時折違うおじさんがやってきた。

 

目指す実技試験は、受験するのに予約が必要だ。

しかも、日本と違い全くシステマティックではない国。

電話で(!)運転免許試験場へ電話を入れ、予約を取るのだ。しかも早いもん勝ち!

 

これは悪名高いシステムで、南ア人も「全然予約が取れないんだよね」と愚痴っていたぐらい。

私も数度電話してみたが、やっとつながった!と思ったら、

「予約はいっぱいなので、また電話してね!」と言われる始末。

何度電話しても予約が取れないので、出勤したら朝一番で電話し、2,3時間したらまた電話し…と、執念のように電話をし続けた。

それでも予約が取れない!

やっぱり日本で免許を取っていくのが一番いいですよ…。

 

筆記試験用のテキストは、その「教習所」から貸してもらって勉強した。

南ア人は、実技試験は一発合格し、筆記試験で何度も落ちるらしい。

私は勉強してみてよく分かったが、日本人は多分逆でしょう。

日本人には南アの実技試験は少しハードルが高いと思うが、筆記試験は超簡単でした。

 

で、筆記試験の日。

筆記試験は何度受けてもいいし、すぐに受験が出来るのだ。

家の近くで受験できるしね。

 

実技試験の予約にかなり長いことてこずっていたので、せめて筆記試験は一発合格しようと思った。

筆記試験は、英語、アフリカーンス語など南アの公用語4つで記述されていた。

学校教育を受けていない人でも分かるよう、イラストも問題に添えられていた。

設問はこんな感じ。答えは4択。

 1.あなたが車を運転していたら、道路にゾウが出てきました。

あなたはどうしますか。正しいものを選びなさい。

  1. ゾウにクラクションを鳴らす。
  2. スピードを上げてゾウを追い越す。
  3. ゾウの前で一時停止する。
  4. ゾウを車で追いかける。

 

道にゾウが出てくるあたり、アフリカだなあ。

ゾウのイラストが可愛かったです。

正解は、言わなくても分かると思いますが3です。

 

筆記試験は、(当然ながら?)一発合格しました。

問題は実技試験で、予約が取れないまま何か月か過ぎた。

仕方なく、日本へ一時帰国したときに短期間で免許を取りました!!

 

で、日本から国際免許を持参。

晴れてホンダの新車に乗って通勤できるようになった。

 

聡明な読者の皆さんは、あれ?と思ったかもしれません。

「車じゃなくて、自転車通勤すればいいんじゃない?」

素晴らしいですね!

私も最初そう思いました。

しかし会社に車通勤を言い渡された理由は、当時の南アはとても治安が悪かったからです。

車通勤は安全のためでもあったわけです。

 

しかし車通勤なら絶対安全か、というとそうとも言い切れず。

車を買ってウキウキ気分の私が、南ア人同僚や日本人上司に言われたこと。

それは、残業して遅くなった時、もし通行している車がなければ赤信号を無視するように。

ということだった。

 

当時の南アで流行っていたスマッシュ・アンド・グラブという強盗があった。

赤信号で車を停車すると、道路わきから石を持った誰かが出てきて、あなたの車のガラスを割る。

そして、助手席に置いてあるカバンを強奪する、というもの。

ひどいときはそのまま助手席に乗り込まれ、脅されて山中に行かされ、そこで殺されるケースもあった。

 

なので、赤信号で停車するときは要注意なのです。

殺されるよりは、信号無視で罰金を払う方がマシ、というわけです。

 

日本人同僚の体験談。

ヨハネスブルグでの話ですが、赤信号で多くの車が停止しているところ、スマッシュ・アンド・グラブに遭った人がいたという。

衆目の中で強盗に遭うって、結構大胆ですね。

 

当時の南アは本当に治安が悪かった。

幸運にも私は犯罪に遭わずに済みましたが、聞いた話はたくさんあります。

あれほど美しい国なのに、これほど治安が悪いとは残念。

犯罪さえなければ、ホントにいい国なんですけど。

 

南アで働く機会を得たことで、車と縁遠かった私もようやく腰を上げて免許を取ったわけです。

でも、日本で運転する勇気はまだありません…。