またどうでもいい話をおひとつ。
イスラム教徒は一夫多妻が許可されている、とか聞く。
多くの妻を持つ人が本当にいるのだろうか?と私は疑問に思っていた。
インドネシアは、国民の7割か8割がイスラム教徒の国だ。(イスラム教国、ではありません)
まさに、私の疑問に答えてくれるはず。
結論から言うと、インドネシアはあれだけガチガチのイスラム教でありながら、奥さんが複数いる人をあまり見なかった。
「あまり」見なかった、と書いた理由は、実は一人だけ見たことがあるのです。
それは、某州の知事さん。
多分、インドネシア在住者なら知っているかもしれません。
私がその州へ出張に行ったとき、私の仕事相手や訪問先のインドネシア人たちの間で噂になっていました。
知事の子どもが入院した。
子どもはまだ幼稚園児だという。
知事はかなりの高齢。
子どものお母さんは、知事には不釣り合いなくらい若い女性。
あれ?おかしくない?
うーむ。噂好きのインドネシア人が話題にしそうです。
このゴシップをささやかれた私は、一瞬、一夫多妻のことを忘れ、
「え?知事が〇〇歳なのに子どもが幼稚園?おかしくない?」と言ってしまいました。
(そしてインドネシア人のおばさまたちの失笑を買った)。
後でよく聞くと、この2番目の女性の存在は、州民なら誰でも知っているそうです。
なぜなら、知事は彼女とイスラム教式の結婚式まで挙げたから。
「2番目の奥さんは〇〇に住んでいるらしい」とか、そんなことまで噂になっている。
では、奥様が2人いるのは違法かと周囲の現地人に聞いたところ、
「そうではない」と、なんとも玉虫色の返事。
地元民たちによれば、
「妻を2人持つことは、最近はあまり一般的ではないが、文化的にはOKなのだ。」
インドネシアには、国家が制定した憲法や法律もあるが、同時にイスラム法もある。
イスラム法では裁判所の許可を得れば複数の妻を持てるので、文化的には問題ないのだ、という。
なーんだ、結局「一夫多妻は(条件付きだが)OK」なわけだ。
法律と社会文化的通念が融合(といえば聞こえはいいが)してるんですね。
欧米式の憲法や法律を導入したが、実際には伝統やしきたりが優先する、アジアやアフリカの国にありがちな現象なんだろうな。
なぜこんな話をするかというと、この2番目の若妻が話題になるくらい、インドネシアでは奥様が2人いる男性をめったに見かけなかった、ということです。
イスラム教徒が多いと言えど、今や一夫多妻は一般的でないようです。
テレビにもよく出演されているデヴィ夫人は、スカルノ元大統領の第3夫人。
彼女の結婚相手を見てもお分かりの通り、複数の妻を持てる男性は相当な権力者か大金持ち。
(日本のテレビで彼女を見ているだけだと、デヴィ夫人がどれほどお金持ちかよく分からないと思います。
しかし、インドネシアのお金持ちは日本の比ではありません)。
デヴィ夫人を見て「インドネシアは一夫多妻の国」と誤解されるかもしれません。
でも、現代の若いインドネシア人の感覚は違うみたいです。
既婚者だが恋人がいる、なんてのはよくありますよ。
日本や欧米だけでなく、インドネシアお前もか…と言う感じ(笑)。
人間の性は、どこの国でも変わりません。
でも、「2番目の妻」を公的に持つ、と言うのは手間暇もお金もかかるので、今の若い人はやらなくなっている印象があります。
新聞記事を見ても、どっかの地方の高齢者が2番目の若妻を迎えたということ自体、ニュースになる時代です。
(こういう結婚は、たいてい妻は10代か20代前半。夫が『高齢、金持ち、あるいは土地の有力者(経営者とか、イスラム導師とかね)』のパターン。)
やはり女性の地位向上や欧米的人権の考え方の拡大、それに今の若者は欧米に留学したりして伝統的価値観から離れていることもあって、だんだん妻を複数めとる男性は減っているのだと思います。
日本と同じで、都会在住者や若い人は
「子どもは1人で十分。親のプレッシャーがなければ、子どもを産まなくてもいいかな」
なんて考えの人も増えているし。
むしろ、私が気になったのは、無職の若いインドネシア人男性が高齢の女性と結婚するケース。
高齢女性は、亡夫から受け継いだ遺産があったりする。
若い夫は高齢の妻の世話をしないといかんが、財産はゲットできるわけです。
これって日本でいうところの「永久就職」みたいな感じ?
セネガルでも似たような現象があります。
ヨーロッパから来る高齢女性の現地恋人として付き合い、お金をもらう若い男性が多いこと。
その白人高齢女性からもらったお金で、親戚一同が生活しているなんてことも。(つまり、親戚一同、「白人高齢女性とお付き合いするのはビジネス」と了承しているわけです)。
ありゃ、一夫多妻から脱線しちゃいました。
書いているうちにだんだん長くなってしまったので、後半は明日の記事にしますね。