オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

子どもを捨てるな

 

コートジボアールは、他の西アフリカ諸国に比べると識字率が高めだった。

とはいえ、やはり田舎の方は文字が読めない人もいた。

今はもう少し識字率が上がっていると思いますが。

 

今日は識字教育について記事を書こうとしたのに、まったく違う話を思い出し、書いてしまいました。

すみませぬ…識字教育については、また別の機会に。

 

私がアビジャン市内で住んでいた家の近くに、バスの停留所があった。

停留所の近くに、イラスト入りの大きな看板が掲げてあった。

何が書いてあるかと言うと、こんな感じだった。

 

『ここに子どもを捨てないでください! 子どもを捨てることは犯罪です。』

 

なぜこのような大きな看板があったかというと、田舎の村で子どもを養えなくなり、都会に子どもを連れてきて捨てる人が多かったからだ。

 

以前の記事にも書いたが、田舎に行けば行くほど一夫多妻かつ子だくさんになる。

なぜ子どもをたくさん出産するのかと現地人に聞くと、こんな答えが返ってくる。

 

病気で子どもは5歳までに亡くなることが多いから、たくさん産んでおく。

子どもがたくさんいたら、成長したあかつきには労働力として田畑を耕してくれるから。

子どもは成長したら働き、親にお小遣いをくれるから。

 

つまり子どもが多ければ多いほど、親は(いつか)生活が楽になる、というのが、多産の理由だった。

しかし、そんなにたくさんの子どもがいても、食事は十分にない。

食べさせて行けなくなることも珍しくなかった。

じゃどうするのかと言うと、口減らしである。

(今どき、こんな単語を知っている若者はいませんよね)。

 

親は、捨てる予定の子どもと一緒に村から長距離バスに乗り、大都会アビジャンへやってくる。

親は往復切符を買っているが、子どもは片道切符を持たされる。

適当なところで子どもを降ろし、自分はバスに乗って村へ帰るのだ。

 

アビジャンの路上で、泣きながらバスを追いかける子どもを何度か見たことがある。

粗末な服装を見ると、ああ、どこかの村から来た子どもなんだろうな、と思う。

見てて、良い気持ちはしない。

 

で、ありがたくないことに、私のアパートの近くにバスの停留所があった。

だからそこに大きな看板があったのだが、貧しい人たちは文字が読めない人が多い。

「子どもを捨てることは犯罪です。罪に問われます」

って大書してあっても、その看板の前へ子どもを捨てていく。

 

路上をうろうろする見知らぬ子どもがいると、この子も親に捨てられたことが分かって、そのうち生き延びるために何か仕事を見つけるんだろうな、と思いながら見ていた。

大人だって仕事がないのに、子どもが就ける仕事は少ない。

靴磨きの仲間に入れてもらえればいい方だ。

 

可哀そうだと思うけれど、私一人で何万人ものこういう子どもを助けることはできない。

(だから、こういうブログを書いているんだろうと思いますが)

 

ある夜。

私は夕食を終え、ゴミをまとめてビニール袋に入れ、ゴミ捨て場へ持っていこうと自分のアパートを出た。

すると、ゴミ捨て場のゴミの山の陰から、2歳くらいの少女が現れた。

 

可愛らしいスカートをはいているが、街灯の下でよく見るとものすごく汚れている。

顔も洗っていないのか、汚かった。

彼女は私の持っているゴミを指さして言った。

「Donne!Donne!」

(注:ドンとは動詞donnerの命令形。フランス語でdonner とは、英語で言うところのgiveです。)

 

そのゴミ、ちょうだい!と言うわけです。

ゴミをもらってどうするのかというと、中身を空けて空き缶や紙など、換金できるものを探すのです。

あるいは、まだ食べられる食物があれば、それを。

 

うちの近くに捨てられた子どもがうろうろしているとはいえ、この子は私が見る限り、最年少。

ちょっと驚きました。

しかも、女の子なのに…。

かなり心配ではあるが、これだけ小さければさすがに親も捨てないよね?

 

私は、あまりにも小さい子どもが出てきたので驚き、かつ、こんな子どもにゴミあさりをさせるのが嫌で、ゴミを捨てるのを躊躇した。

しかし、その子はあきらめない。

そのゴミ、ちょうだい!を繰り返す。

私は親がその辺で見張っているのではないかとあたりを見渡したが、それらしき人はおらず。

 

結局、ゴミはいったん自宅へ持ち帰り、様子を見ることにした。

(ゴミをその子にあげるべきだったんでしょうか?うーむ悩む)。

 

10分くらいしてこっそりゴミ捨て場に戻ると、その子はいなかった。

私は彼女に見つからないよう、ゴミ山の上の方にゴミをそっと置いて立ち去った。

街灯の下、山と積まれたゴミの上に、私が置いたゴミ袋がぽつんと照らされていた。

 

ストリートチルドレンは、こんな風に結構私の家の周りにいました。

耐えかねた?行政が、「子どもを捨てるな」看板を設置したんでしょうね。

しかし文字が読めなければ、子どもを遺棄することが違法とは分からない。

(あるいは分かっていても、捕まらなければいいやと思っているのかも)。

 

看板には一応、マンガ?のような絵も添えられていた。

そんなに上手ではない。

泣いている子どもと、親の乗ったバスを追いかける子ども。

 

それを見ても、捨てられた子どもの悲しみは伝わらないでしょ。

私に描かせたらもっと上手なんだが。

いや、そんな悲しいイラストはやっぱり描きたくないな。