オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

ベール (ジルバブ)

 

(今回は3パラじゃありません!)

 

イスラム教徒の女性は、ベールで髪を覆っていることが多いようなイメージがある。

 

インドネシアでは、ベールを付けていないイスラム教徒の女性は意外にも多い。

イスラム女性はベールを付けているのが当然、とは言えないようである。

(ちなみに、インドネシアではベールはジルバブと呼ばれています)

 

こんなケースがあった。

私のインドネシア人の女性の友人は、長年付き合った彼氏からこう言われたという。

 

「そろそろベールを付けてもらえるかな?」

 

どういうことか説明すると。

そもそもベールは女性の美しさを隠すためである。

ベールを付けて髪を覆っている女性は、自宅ではくつろぐためにベールを外す。

つまり、ベールを付けている女性の美しさを堪能できるのは、夫だけなのである。

 

なので、「ベールを付けてほしい」と言われるということは、プロポーズと同様なのだ。

ベールを付けることで、僕のためだけに君の美しさを取っておいてほしい、という意味なので。

 

じゃあ、既婚女性が全員ベールを付けているのかと言うと、そうでもない。

(ややこしいですね)

独身者でもベールを付けている人もいれば、既婚者でも付けていない人がいるのだ。

この、「ベールを付ける基準」が、私にはいつまでも謎だった…。

 

私の職場に、独身の美しい現地女性スタッフがいた。

美人なので、当然日本人男性スタッフにもモテモテだった。

しかーし!!

ある日、彼女はベールをかぶって出勤してきた。

 

衝撃を受けた私は、どうしてベールを付けることになったのか彼女に聞いた。

すると、親戚のおっさんだかおばさんだかの指示でつけることになったのだという。

 

曰く、「未婚女子が美しさをふりまいてはいかん。イスラム教徒ならベールを」と言われたのだとか。

これには、私もかなりがっかり。

彼女の輝くばかりの美しさが、ほっかむりで見えなくなってしまうのは惜しい(おじさん的意見ですが)。

 

こんな感じなので、町中でベールを付けた女子を見ても、未婚なのか既婚なのかは不明。

自分の意思でつける場合もあれば、この彼女のように他人に指示されて付ける人もいるみたいで。

ってことは、インドネシアにおいてはベール着用の明確なルールがないんだろうと推測しています。

 

ベールにはいろいろ種類があります。

若い子は布を器用にピンや針で止めていますが、おばちゃんになるとゴム口がついた帽子状のやつを、頭からすっぽりかぶるタイプなんかも使用。

さすがにそういうゴムタイプは、外国人である私が見ても、「あ、なるほど…ダサいわね」というのが分かります。

 

アフガニスタン人と一緒に仕事をしたとき。

おしゃれアフガン女子はスケスケのベールの中にゴージャスな髪飾り、というのが流行でした。

表立って髪を見せることが出来ないので、ベールの中におしゃれをし、チラ見せするわけですね。

 

アフガニスタンと異なり、インドネシアは高温多湿。

本来、ベールは強い日差しを避けるための中東の文化なので、インドネシアには合わないと思います。

しかし、インドネシアのおしゃれ女子はこぞってベールをつけるようになったんでございます。

そこにはどうやら理由があるらしいです。

 

私がインドネシアに着任した当時は、そこまでベールが若者に大流行している感じではなかったです。

しかし、だんだん流行るようになっていった感じがします。

気づくと、こんなにほっかむりをしている人、多かったっけ?という印象。

 

それで、周囲のインドネシア人に「なぜベールが流行したのか」聞き取り調査をしてみた。

(注:これらは、個人的調査の結果で学術的なものではありません)

 

まずベールが流行った理由その1。

朝、忙しくて髪を整える時間が無くても、とりあえずベールをかぶればサマになる。

 

その2。

ベールをかぶっていれば、たとえそんなにいい子じゃなくても?敬虔なイスラム教徒っぽく見える。

 

1,2は、さもありなんという感じですね。

日本女子も理解できるでしょう。

 

ただ、社会学者によれば、インドネシアの若者の間でのベール大流行には、第3の理由があります。

それは、欧米文化のインドネシア流入に対する、カウンターカルチャーという点です。

 

経済成長により、急速に欧米文化がインドネシア流入してきたのは、本当にここ数年のこと。

テレビやネットにより海外の文化がインドネシアに大量に流入し、特に大都会の若者を席巻しています。

若い子は夜遅くまで道でダンスやスケボの練習をしたり、ハンバーガーやピザを食べたり。

東京の若者と何ら異なるところはありません。

 

で、欧米文化にノックアウトされそうになったとき、自分たちの本来の文化的すがりどころとは?

欧米文化に対するカウンターカルチャー、と考えると分かります。

本来は「インドネシア文化」のはずですよね。

日本だって、洋風の逆は和風。

 

しかし、インドネシアではこれが「イスラム教」にすり替わってしまったようだ、というのが社会学者の意見。

例えばジャワ島ならジャワ文化があります。

彼らの伝統的衣装は赤やピンク、青や紫といったゴージャスな上着に金で刺しゅうをしたもの。

華麗なジャワ建築や料理、音楽、王宮文化なんかもある。

 

日本人なら、「反欧米」「アンチ欧米」で和服を着るというところ。

しかし、なぜかインドネシアの場合は伝統文化ではなく、イスラム教に行きついてしまったということらしいです。

だからのベール流行、らしい。

 

この現象について、ある日本人の知り合いはこんな風に評していました。

 

「つまり現代のインドネシアの若者は、インドネシア伝統文化に親しみが薄い、ってことですよね。

本当は、イスラム教も海外から入ってきた文化なのに。」

 

海外から入ってきた文化に対抗するために、また別の海外から入った文化が流行する、ってのも、悲しいですね。

欧米文化とイスラム文化だけが残り、伝統的なジャワ文化が廃れていくのが残念です。

イスラム教のベールがインドネシアの若者に流行っているのを見ると、あまり嬉しく思えなくなってしまいます。

 

こういう点、ヒンドゥ教のバリ州などは、官庁職員も週一度はバリ民族衣装を着ていて好感度大。

日本の官庁職員も週一度、和服を着たらかっこいいんでしょうけど。

日本はそこまで日本文化を大事にしていないか…。

 

余談ですが、学生のアルバイトがなかなか見つからないインドネシア

大学生は何をやって小金を稼いでいるのかというと、小さいビジネスをやるのです。

イスラム教のベール流行に乗り、私の職場のスタッフも「ベール販売業」をネットでやってて、そこそこ稼いでいる。

 

「私はベールを何十枚も持っているのよ!」

と自慢げに話す彼女を見ていると、現代若者気質というか、簡単に起業する若者をたくましく思う気がしなくもないですね。