オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

食事のタイミング  

 

 

日本と同じような生活時間の国では、自分のペースで生活できる。

アメリカや南アフリカコートジボアールは問題なかった。

しかし、スペインやインドネシアは、日本人と生活時間が違う。

特に食事については時間がずれていて、なかなか慣れなかった。

 

インドネシアでは、現地人の食事時間はいつも謎だった。

 

地方へ出張したときの食事のタイミングは、いつも私の悩みの種だった。

例えばこんな感じだ。

ホテルの部屋で翌日の日程を確認する。

明日は早朝から会議が入ってるな。

明日朝は早起きして、朝食をがっつり食べておこう。

 

そう思って、ホテルの朝食開始時間前から、食堂入り口でスタンバっている自分(迷惑な客)。

具をたくさん入れたブブール(おかゆ)を食べ、コーヒーを飲む(変な組み合わせだな)。

部屋に戻って特急で歯を磨き、メイクを済ませ、会議の資料をチェックしてカバンに入れ、ロビーでスタッフを待つ。

 

やってきた車で打ち合わせ先に移動し、早朝から会議に出席。

打ち合わせが終わってやれやれと思うつかの間、同行している私のスタッフが一言。

 

「これから××(打ち合わせ先)の人たちが、〇〇というレストランへ行くんですって。

私たちも一緒に行きましょう」

ふーん。そこでまた打ち合わせするわけか。

ジャカルタだと会議の後はあっさり別れるが、田舎だと濃厚な付き合いをする必要があるわけだな。

 

再度車に乗り込み、仕事相手たち数名と〇〇レストランで落ち合う。

コーヒーでも飲むのかい?と思っていると、テーブルにナシゴレンが運ばれてくる。

 

そこでうちのスタッフがまた一言。

「みんな、まだ朝食を食べていないから、良かったですね。この料理もこの町の名物なんですって」

良かったですね、って…誰も朝食を食べてこなかったのか?

 

会議の後にみんなで朝食をとる予定なんだって、早く言ってくれよ…。

今朝、たくさん具を入れたブブールを食べてきちゃったじゃないか。

 

周囲の現地人と話をしてみて分かったが、会議前に朝食を済ませてきたのは私一人。

インドネシア人たちの暗黙の了解として、こんな早朝の会議には誰も朝食を済ませてこないらしい。

(日本人の私には分からないので、朝食を食べてきてしまったわけです)

 

ジャカルタなら、会議の後に朝食をみんなで取ることなんて絶対にない。

田舎だから、食事をして親睦を深めるんだろうか?

あ~会議の後に朝食を食べると分かってたら、ホテルの朝食を食べなかったのに。

 

仕方ない。

「朝食は別腹」と思い、頑張ってインドネシア人たちにお付き合いして食べるしかない。

 

こんなこともある。

やはり地方で打ち合わせをして、あらかた仕事の話が終了。

すると、テーブルに山盛りになった菓子が運ばれてくる。

食べろと手真似をされるのだが、こんなに食べられるわけがない。

 

「お腹が空いていないので結構です」

とにこやかに断る。

 

すると、

「職員の〇〇おばちゃんの手作り菓子だから食べてくれ」

「外国人に食べてもらいたいと思って、持ってきたのだ」

「これはうちの町の名物なんだ。ジャカルタでは売っていないだろう」

 

私が食べるかどうかを、先ほど会議を終えたインドネシア人たちが取り囲んで見守っている。

流れ的に、食べないと生きて帰れない気がする。

だって、揚げ菓子だよ…しかも、田舎のばあさんがこしらえたような、1つ1つが巨大なお菓子。

 

心の中では泣く泣く、しかし笑顔で1つ食べる。

外国人が食べてくれた!と安どするインドネシア人たち。

やれやれ。

 

1つ食べたから逃げられると思いきや。

「さあさあ、残りは持って帰りなさい」

「ここにある菓子、全部ホテルに持って帰っていいよ」

要らない、と数回丁重に断るものの、いつのまにかテーブルの上の菓子がビニール袋に入れられ、私の手に押し付けられる。

誰も私の話を聞いていない。

 

こんなこともあった。

ある場所で打ち合わせを終え、辞して去ろうと思ったら。

先方の偉い局長さんが、部下を呼んだ。

すると、会議室に大皿に盛られた食べ物が運ばれてきた。

打ち合わせをした、課長部長級のおじさんたちが口々に言う。

 

「これはこの町の名物で、ジャカルタには売っていない(いつもこういう殺し文句だ)」

「お前が来るから、わざわざ買いに行ったのだ」(こう言われると食べないわけには行かない)

「これは軽食だから、さくっと食べられるぞ」(どう見ても軽食じゃないだろう)

 

こんな巨大なちまきを食べるのかい…。

大皿に盛られた、バナナの葉っぱで包まれた物体。

もち米の中に、煮込んで味付けした肉と野菜を入れ、バナナの葉っぱに包んで蒸しあげたちまきを、塩味のついたアヒルの卵と一緒に食すのだ。

 

おいしかったが、1つ食べるとお腹がふくれる。

それを3つも4つも食べる、役職の高いおじさんたち。

昼食前だというのに、インドネシア人たちはよく食うなあ。

 

結局、この時も、残ったちまきを「ホテルで食べなさい」と持たされた。

 

こういう打ち合わせが一日に4つもあった日にゃあ、お菓子や軽食だけでお腹いっぱい。

お昼時間はお昼でまた「弁当を用意した」と言われ、ナシゴレンセットなどが提供される。

もう、これ以上食べられません。

 

地方出張すると、こんな風に食べ過ぎてしまう。

せめてジャカルタにいる間は、食事を抜いたりして節制しようと心掛けていた。

 

そんなある日、地方出張で打ち合わせをしたインドネシア人から電話がかかってきた。

ジャカルタに出張に来たので、お前の職場に寄りたい」

おお。

わざわざ寄ってくれるのか。

 

現れた相手は、ニコニコしながら私に何やら重そうなビニール袋を突き出した。

「ほら、お土産を買ってきたよ!」

ジャカルタに上京するのに、お土産なんていらないのに…と言いながら、私は気づいた。

ん?

なんか見たことのある物体が、ビニール袋の中に鎮座しているぞ?

 

それは、例のちまきだった。

「20本買ってきたぞ!職場や家の人と分けなさい」

「…」(絶句)

 

私が食べてくれたので、日本人もちまきが大好きなんだと思い、たくさん購入して飛行機に乗った。

というようなことを、得意げにしゃべるインドネシア人。

お気遣い頂き、ありがとうございます…。

 

こんな日々を送っていたら、当然ながら日本に帰国したらメタボ予備軍になっていた。

やはり、朝食は別腹、なわけないですよね。

現地人に合わせて食べてはいけない、と言う教訓を、日本に帰ってからかみしめている。