昨日の記事で、インドネシア・パプア地方ではミイラが作られることを書いた。
そう言えば、もう一つ思い出した。
南スラウェシ州のトラジャ族も、ミイラを作る人たちであることを。
(トラジャについては、以前の記事で書いたことがあったような気がしたので、過去の記事を検索してみたのですが、もしダブって書いていたらご容赦くださいませ!)
スラウェシ島の山奥に住むトラジャ族は、日本では「トアルコトラジャ」のコーヒーで知られている。
彼らは標高1,000メートルの山地に居住し、棚田を作って生活している。
タナ・トラジャ(タナとは『土地』の意)には、昔ながらのコーヒーの木が植わっていたのだが、長年放置されていたらしい。
日本の企業が木の手入れや管理を始め、今は美味しいコーヒーが再び産出できるようになった。
このトラジャ地方(タナ・トラジャ)には、私は行ったことがない。
だって、ジャカルタから国内線で南スラウェシ州都マカッサルまで4時間(しかも時差がある)。
そこから陸路で8時間ですよ。
こんな奥地へ行く元気も時間も、そうそうありませんよ…。
しかし、上には上がいるもので、私の同僚(日本人及びインドネシア人)には訪問したことがある人がいる。
彼らの話を聞き、この記事を書いております。
――
トラジャ族は、大きな船型の「トンコナン」と呼ばれる家屋を作る。
自分たちの祖先は、その昔大きな船に乗ってスラウェシに来た、と信じているからだ。
村の中に大きな船型の家が並ぶ様子は壮観だ。
興味のある方は、ネット検索してみてください。
下の画像は、ジャカルタ近郊のタマン・ミニで撮影した、トンコナンのレプリカ。
実物よりかなり小さいですが、イメージは伝わりますでしょうか。
本題に入る。
トラジャ族の人生最大のイベントは、お葬式である。
自分の葬式を盛大に祝ってもらうため、一生かかってお金を貯めるのだ。
お葬式には、ヤギや羊、牛などが屠られ、参会者に大盤振る舞いされる。
また、食事だけでなく、遺体処理やお墓、副葬人形タウタウ作成などにも膨大なお金がかかる。
亡くなった人の魂が天国に登れるよう、岩壁など高所に棺を納めるのがトラジャの習慣らしい。
そこにもタウタウと呼ばれる人形を飾っておくのだ。
岩壁に石棺を安置するのは、結構大変なことだ。
聞いたニュースでは、亡くなったお父さんの棺を息子や親せきが担いで岩壁を昇っていたところ、誰かが足を滑らせたため、石棺が息子の上に落ち、息子まで亡くなった、という痛ましい事故があった。
ちなみに、トラジャ族は圧倒的にキリスト教徒が多い。
なのに、どうしてこういう葬祭を行っているのかは、分かりません。
宗教以前に、文化的な理由なんでしょうねえ。
「人生最大のイベントは結婚式でしょ?死ぬために貯金してるなんて、変な人たちだね」
ということになる。
ま、イスラム教徒はバリ島のヒンドゥ教徒についても、
「毎日神様に供物をささげるなんて、お金の無駄」
と批判する。
誰しも自分の文化が一番正しいと思うものです。
で、トラジャ族だが、お葬式をするのに十分なお金が無い場合。
葬式費用が無い場合は、遺体をミイラにして自宅内に安置しておく。
葬式費用が出来るまで何年も安置するというが、涼しい高地だから出来るんでしょうね。
庶民とか本当にお金のない人々は、岩の横穴に棺桶を入れるだけらしい。
しかし年月が経ち、棺が壊れて白骨が散乱している場所もあるようだ。
じゃあ、ミイラの方が衛生的なんじゃないか、という気もする。
ちなみに、陸路8時間もかけるのはなあ、という向きには、マカッサル空港にも少しだけトラジャ地方のお土産が売っている。
(訪問しないのにお土産だけ買うってのもどうかと思いますが、私は買いました)
コーヒーはもちろん、トラジャ族の木彫りの壁飾りなんかも可愛いです。
トラジャ族は、雄鶏は太陽を連れてくると信じているので、ニワトリや幾何学模様をモチーフにしたデザインの飾りが多い。
薄い板なので、スーツケースに入れてもさほどかさばりません。
こんな僻地なので、そのうちトラジャにも国内線の路線が出来るとかという噂もあったが、どうなったやら。
飛行機でお手軽に行けるなら、行ってみたいなあ。