私は今まで欧米やアフリカにしか住んだことがなかった。
でもアジアの国に住んでみると、世界はまた違って見える。
1945年8月15日。
日本が敗戦した日は、多くのアジアの国が日本軍から解放された日だ。
そして、日本が無条件降伏を受け入れた2日後の8月17日。
インドネシアは独立を果たした。
なので、インドネシアでは8月の大きな行事と言えば、独立記念日。
赤と白のツートンカラーの国旗が至る所に飾られ、町は大いに盛り上がる。
独立記念行事が各地で行われ、人々は赤と白の服を着て町へ繰り出す。
地方の村でよく開催されるのは、高い棒に登る大会だ。
木登りの要領で、高い棒に素早く登った人が勝ちだ。
勝者への景品は、テレビやラジオ、お菓子など色々ある(この景品が庶民的で良いですね)。
私は木登りに自信がないので、この棒のぼり競争にはいまだに参加したことがない。
町の人たちも、独立記念日を思い思いに祝う。
私はよく、インドネシア人の友人たちに独立記念日の食事に誘われた。
独立記念日の食事会は、国旗色、つまり赤と白の服を着ることがドレスコードだ。
でも、赤い服なんてそうそう持っていませんよね。
誘われた日本人の中には、赤い服を慌てて買う人もいました。
ところでアイルランドのお祭り、セント・パトリック・デー(St. Patrick’s Day)は、緑のお祭りだ。
3月17日はカトリックの聖人、聖パトリックの命日らしいが、緑豊かなアイルランドの自然にちなんだお祭りでもある。
セント・パトリック・デーでは緑色のビールを飲み、シャムロック(クローバー)を身につけたりする。
緑の物を身につけて祝うのだが、緑の服を持っている人も、そんなにいないですよね。
私のアメリカ人の友人は、
「緑の服が無いので、青と黄色にした」
といって、黄色いシャツに青いズボンを着用していた。
青+黄色=緑、という論理なのだが、そんなの説明されないと分からないでしょ…。
毎年私は服に窮し、ピンクのブラウスだったり、赤い靴だったり、四苦八苦しながら赤と白をそろえた記憶があります。
普通の人は、赤と白の服を持っているものなんですかねえ?
いくら日本人でも、まさか日本国旗にちなんだ白地に赤い水玉の服なんて持ってないと思うんですが。
で、今年の8月17日のインドネシア。
コロナといえど、独立記念日は盛り上がるわけで。
今年は特に盛り上がりまくった。
その理由は、インドネシアの独立記念日直前に終了した、東京オリンピックですよ!!
東京オリンピックでは、インドネシアから参加した何名かの選手がメダルを獲得した。
特に金メダルを獲得した7人のインドネシア選手をたたえ、赤いTシャツが販売されたそうです。
(ちなみに、Tシャツは赤地に白字で、オリンピアンの名前が書いてあります)
インドネシア人の友人から興奮気味の連絡。
「東京オリンピックでインドネシア人選手が金メダルを獲得したから、今年の独立記念日は、インドネシアは超盛り上がってるよ~!!」
インドネシアは感染者が世界最多となり、社会の雰囲気が重くなっている。
こんな中、メダリストの活躍は、そりゃ国威発揚になろうというもの。
メダリスト輩出に沸くインドネシア、微笑ましい。
でも、銀メダルや銅メダルの人も祝ってあげてほしいですね。
ところで、金メダルを獲得した南スラウェシ州出身のバドミントン選手は、ご褒美に牛5頭を与えられたそうです。
そのほかの褒賞として家、アパート、コーヒー一生分(笑)、1年間のジャカルタ―東京往復航空券、歯科治療一生分無料券、食事のチェーン店一店舗、などをもらったという。
ちょっとしたメダル長者ですね。
選手が東京から持ち帰ったメダルは大きな社会的インパクトがあっただろうなあ!
これからインドネシアの地方でもスポーツをする人が増えてくることを期待しましょう。
ジャカルタでは、スロープなどを使ってスケートボードを楽しむ子どもたちが増えているので、新しいスポーツもこれから人気が出てくるかもですね。
確か、今回の東京オリンピックでは、フィリピン史上初の金メダリストが誕生したはず。
彼女も大統領から報奨金をもらったり家をもらったりしたと聞きました。
だんだん途上国も生活が豊かになり、スポーツ選手が増えてくるとメダリストも増えてくるんだろうなあ。
今回の東京オリンピックを見て思ったのは、スポーツは先進国のものだけではなくなりつつあること。
そういう意味では、良い方向に世界が変わっていることを印象付けた大会だったと思います。
私は体育会系ではないのだが、スポーツを通じて国際交流が活発になることは大賛成。
核ミサイルをちらつかせて自分のやりたいことを相手に強引に飲ませるというやり方、もう古すぎるんだよ…と、世界の指導者たちも気づいてほしいですね。