スペインにいたとき、ある女の子と知り合った。
「私の名前はアホよ」
と言われ、そんな名前は聞いたことないなあ~と思ったら、マリア・ホセの略だった。
マリアのアと、ホセのホをくっつけたわけだが、妙なところで切ったものだ。
アメリカにいたとき、ベカーという名前の子と知り合った。
不思議な名前だなあと思っていたら、レベッカの略だった。
レベッカの愛称と言えば普通はベッキーなんだが、ベカーなんて妙な愛称をつけたものだ。
私は言語オタクなので、人名や地名にもとても興味がある。
と言っても、欧米の場合は想像の付く範囲だ。
すごく難しい名前や地名は、あまり見たことがない。
コートジボアールはフランス語圏なので、フランス語名の人もいれば、アフリカ名の人もいる。
西アフリカは日本ほどたくさん名字がない。
なので、名字を聞くとセネガル人だとかマリ人だとか想像がつく。
現地語名はンで始まる名前が多く、発音が難しかった。
例えば以前のコートジボアールの大統領のローラン・バボ。
彼の名字はバボと表記されるが、現地人はンバボ、みたいに発音する。
表記はGbagbo なので、Gサウンドを鼻でやるのがン(グ?)に聞こえるのだが…。
バボではなくバグボ、と表記する人もいる。
アフリカ人の名前はカタカナで表すのが本当に難しい。
エムボマ(Mboma)のようにMから始まる名前も、本当はンから始まる発音なのだが、日本人にはハードル高すぎ。
日本語には「ん」という文字一つしかないが、「ん」という文字に当てはまる音は11個もある。
私も第一言語は日本語なので、アフリカの様々な「ン」発音が出来ない。
いつも現地人の発音を聞いて、「そんな発音が出来るんだ」と感心していた。
インドネシアは、名前が長い人が多い。
たとえばユリアンティちゃんは名前が長すぎるので、ユリちゃんと呼ばれる。
名前を短くした結果、アユちゃんとかユリちゃんとか、日本人には覚えやすい名前の人が結構いる。
仕事で知り合った人にイタさんという人がいた。
多分、長い名前の省略がイタなんだと思うが、この人は料理の先生だった。
料理の先生が板さんとは出来過ぎだが、覚えやすくて助かった。
インドネシアは名字が無い人が多い。
日本語名を例にとると、「ヒロシ」と言う名前があるとする。
日本であれば鈴木とか田中とか、ヒロシの前に名字が付くのが普通だ。
名字の無い人は、日本にはいないんじゃないだろうか。
しかし、インドネシアでは名字のある方が珍しい。
ヒロシ…何ですか?と聞いても、「ヒロシです」で終わってしまう。
ヒロシなんて5万人くらいいるだろう、と思うが、誰しも名字がないので問題にならないようだ。
日本人の私としては、名字がない人と仕事で接するのは、どうにも居心地が悪い。
名刺交換をして、相手のインドネシア人に「ヒロシです」と名乗られた際、どうしたらいいか。
アメリカ人じゃあるまいし、まさかヒロシ!と呼び捨てにするのもどうかと思うし、ミスター・ヒロシというのもおかしい気がするし。(ミスターは通常は名字につける呼称ですよね)
いつもモヤモヤを抱えながら、結局「ミスター〇〇」と呼んでいた。
名字がないことについて、多くのインドネシア人に理由を聞いてみた。
しかし、誰しも「ないものはないんだ」というような回答だった(説明になっていない)。
名字がないので、結婚離婚再婚で名字を変える必要もない。
ある意味、楽でいいなあ。
インドネシアの名前については外国人には分かりづらい。
アイデアが温まったら、また何かの折に書いてみようと思う。
そういえば、アフリカは「ン」で始まる名前・地名が多いと前述したが、インドネシアも「ン」で始まる地名があった。
バリ州州都デンパサールにある空港だ。
日本のガイドブックにはグラライ空港、と表記があるが、本当はングラライと発音するのだ。
チャドの首都もンジャメナという。
探すと結構ある、ンから始まる地名。
日本のしりとりでは、「ン」から始まる言葉は無い、ということになっているが、世界には結構あるものだ。
そのうち「ン」から始まる地名や名前をコレクションしてみようと思っている。