オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

スイーツ

 

私は、スナックはふだんあまり食べないのだが、ケーキは別だ。

特別に甘いものが好き、というわけではないが、たまに生クリームの乗ったケーキが食べたくなる。

 

ところで、日本でよく売っている生クリーム。

これが入手できる国は、意外にも少なかったりする。

冷蔵技術の発達していない国だと、新鮮な牛乳自体、なかなか入手できないのだ。

 

生クリームがなければ、現地で売っているケーキはこってりしたバタークリームとかチョコクリームになる。

こういうこってり系ケーキは、生クリームケーキを知った身には、飽きるのが早い。

生クリームケーキのさっぱり感を味わってしまうと、バタークリームのケーキは濃厚すぎる感じがする。

 

スペインにも、レイヤードケーキだのフラン(プリン)だの、スイーツがあった。

(ちなみにチューロスはホットココアにつけて食べるが、スイーツというより屋台で売られる軽食扱いだった)

ヨーロッパのケーキ大国と言えばフランス、と思っている日本人は多いし、たぶんそうなんだろう。

でもスペインは地味だが、十分美味しいと思います。

 

私がスペインのスイーツを喜んで食べているのを見て、オーストリアやドイツ人の学生たちが、こぞって自慢していた。

曰く、うちの町のザッハトルテは美味いだの、シュバルツバルダーなんだかトルテは絶品だとか。

うう、うまそう…とその時は思った。

しかし、いまだに彼らの自慢したザッハトルテを食べる機会に恵まれていない。

 

コートジボアールは、私が住んでいた当時は、前述のように生乳が入手できない国だった。

当時、私の日本人の友人に、私以上のケーキ好きがいた(男性だが)。

 

彼、S君は熱心にアビジャン市内でスイーツを探求し、しまいにはホテル・イボアールという、昔からあるホテルのパティシエに突撃取材を敢行した。

 

「ねえねえ、知ってる?

ウインナーコーヒーがアビジャンで飲めないのは、生クリームが入手できないからだってさ!!」

 

S君が得意顔で私に自慢してきた。

誰に聞いたんだ、そんなの。

と思ったら、

「ホテル・イボアールのパティシエに詳しく聞いた。」

さすが、おいしいものを食べたい執念ですね…。

パティシエも、生クリームが手に入らなければ、違うケーキを作るしかないでしょうね。

 

そして、S君は自分が今までアビジャンで食べたケーキのベスト3を力説し、欧州のケーキに一番近いと思われるレベルのケーキは〇〇屋の××である、という自分の調査結果を開陳した。

私も食い意地が張っているが、アフリカでおいしいケーキを食べようとは思っていなかった。

なので、S君の「おいしいガトー」を追求する執念に脱帽した。

(しかしアフリカで、おいしいケーキを期待する方が間違っていませんかね?)

 

まあ、自分が住んでいる町で快適に過ごしたい(ケーキ好きなら、たまにはケーキを食べたくなるでしょう)というのは理解できるが、まさか赤道直下のアフリカで、欧州並みのケーキ、ねえ。

こういう、「生クリームが無い国」で無理無体な要求をする人がいるから、アビジャンのスイーツ界も発展するのかもしれません。

 

新鮮な牛乳がないなら、どういう牛乳を販売しているかというと、紙パック入りのホモ牛乳とか、UHT牛乳とか、いわゆるロングライフ牛乳だ。

つまり、常温保存可能な牛乳。

これは本当においしくない。(個人的感想ですが)

 

日本のように生クリームをふんだんに使ったおいしいケーキが食べられるということは、牛乳の冷蔵技術が発達しているということだ。

まあ、ケーキに限らずお刺身も同じことですね。

 

私の以前の上司Kさんから聞いた話。

彼が若かりし頃にタンザニアで働いたとき、やはり新鮮な牛乳が無いことに気づいた。

 

上司が若かりし頃の話なので、25年くらい前のことだろう。

さすがにタンザニア英語圏なので、今なら新鮮な牛乳は入手できると思います。

コートジ同様、当時のタンザニアは貧しく、生乳は販売していなかったという。

 

「なんでタンザニアには牛乳が売ってないんだろうね?」

Kさんは、同僚のタンザニア人にこぼした。

日本から連れてきた奥様と一緒にスーパーに行くものの、日本と違って何でも入手できるわけではない。

アフリカだから、物がないのは仕方ないのか。

 

ある週末、Kさん宅にタンザニア人の同僚が来た。

「Kさん、おはようございます!」

週末に、しかも自宅に来るなんて、一体何事かとKさんは戸惑った。

タンザニア人の同僚は笑顔で言った。

「牛乳を持ってきました!」

 

同僚に家の外から手招きされて、

「自分の愚痴を覚えていてくれたのか。タンザニア人は優しいなあ」

と感激しながら、Kさんは玄関のドアを開けた。

 

すると、そこには笑顔のタンザニア人同僚と一緒に、牛が一頭いた。

戸惑うKさんに、タンザニア人同僚が一言。

 

「Kさん、牛乳が飲みたいって言ったじゃないですか!

タンザニアにも牛のミルクはあるんですよ!!」

 

あるんですよ、って言って牛を連れてこられてもねえ…。

確かに、フレッシュな牛乳だから冷蔵庫は要らないが。

 

この話を上司から聞いた時、私は膝を打った。

なるほど。

新鮮な牛乳があるなら、アフリカでも生クリームは作れるはずだ。

 

次回、アフリカに住むことがあれば、生クリームの乗ったケーキを探すことにする。

新鮮な牛乳が入手できなければ、次は酪農家と友達になるしかないだろう(そこまでするか)。

 

それにしても、自分の欲しい物のためなら、人間は行動力を発揮できるものらしい。

私もスイーツ好きだが、S君ほどのケーキにかける食い意地、いや情熱はない。

案外、甘い物好きの男性の方が女性より甘い物を追求する情熱があるのかも。