オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

有刺鉄線&ガードマン

 

今日は、南アフリカの泥棒よけ対策について記事を書いてみる。

 

私が中学生の時。

世界地理の教科書に、

南アフリカは治安が悪い。

泥棒よけのため、家の塀の上に高圧電流の流れる有刺鉄線をはりめぐらしている」

という記述があった。

 

バラ線に高圧電流を流すのか~南ア人はすごい家に住んでいるんだな、と中学生の時は思った。

しかし、大人になって自分が南アフリカで働き、地理の教科書に書いてあった通り、高圧電流の流れる有刺鉄線に囲まれた生活をするとは夢にも思わなかった。

 

私が南アで借りた家は、間取りでいうと2LDK

庭も小さく、家も小さな一軒家だった。

マンションとかアパートのような集合住宅が少なかったので、一軒家という選択肢となったのだ。

 

一軒家ということは、塀を乗り越えれば泥棒は侵入できる。

というわけで、自宅を囲む塀の上に有刺鉄線をはりめぐらし、そこに高圧電流を流すことになった。

 

そんなこと、日本の家ではやったことがない。

大丈夫なんだろうか?

 

「もしや自分が間違えて有刺鉄線にさわってしまったらどうしよう」

「間違えてさわったら、私は感電死するんだろうか?」

 

なんて最初は心配した。

しかし、普通に生活をしている限りは、塀の上の有刺鉄線をつかむシチュエーションには(絶対に)ならない。

そういう状況になる方は、特殊な職業の方のみです。

 

南アフリカにも野良猫はいる。

彼らは自由きままで、他人の家の庭に出入りしたりする。

 

野良猫は、塀の上の有刺鉄線にふれてしまわないんだろうか?

そんな心配をする猫好きのあなた。

私も、自分の次に野良猫を心配しました。

 

その質問を、同じ職場のSさんに聞いた。

猫好きのSさんも同じことを気にしていたようだった。

 

南アフリカの野良猫は、毛がボロボロになってますよ。

塀の上を歩くとき、うっかり有刺鉄線にふれてしまってビリビリしちゃうみたいですよ。」

 

おお。

可愛そうな猫ちゃん…。

その後、私も野良猫を数回目撃したが、猫たちの毛並みはケバケバになっていた。

 

でも、本来は泥棒よけの有刺鉄線&高圧電流。

家を見たら「あ、あの家は塀の上に有刺鉄線をはりめぐらしているな。あれは高圧電流が流れてるんだ」

と誰でも分かるので、防犯効果を発揮しているものと思われます。

 

と、私もしばらくは思っていた。

私が南アで働き始めてしばらく経った時。

有刺鉄線を張り巡らしている日本人宅に、果敢に侵入を試みた泥棒がいたのである。

 

その人は、高圧電流の流れる有刺鉄線を家の周囲に張り巡らすだけなく、ガードマンを雇っていた。

夜間、アラームが鳴ったので当直のガードマンが家の周囲を確認した。

すると、塀を乗り越えて侵入しようとしていた泥棒2人組がいたという。

彼らは塀に登り、高圧電流の流れる有刺鉄線をつかんだが侵入に失敗し、あきらめて逃走した。

 

ガードマン曰く、有刺鉄線をつかんだ泥棒2人組の体が、暗闇の中で青白く光ったという。

電流にふれてビリビリしちゃったわけですね。

 

私はそれを聞いて、

(なるほど、高圧電流と言ってもすぐに手を離せば感電死しないわけだな)

と妙に安心した。

 

じゃあ、南アフリカ人は自宅の塀の上に有刺鉄線をはりめぐらせているのかというと、全員ではない。

ではどうやって自衛しているのかというと、南ア人もアメリカ同様、拳銃を携帯しているのだ。

 

私の知り合いに、タイス(仮)という軍人上がりの南ア人がいた。

彼は私の職場にいる南ア人同僚の、古い友人だった。

 

ある朝、私は仕事の都合上、タイスに会う用事があったのだが、彼は10分ほど遅れてやってきた。

「ごめんごめん。今朝は思いがけなく手間取ってしまって」

 

タイスはにこやかな笑顔で言った。

「朝ごはんを食べようとしたらさ、庭に強盗が入って来てさあ」

 

はっ?

強盗?

そんな、軽~く雑談する感じ?

 

「朝から強盗に入られた」と聞き、私は動揺してしまった。

タイスはのんきに続けた。

 

「ダイニングテーブルについて、コーヒーをカップに注いで、それからパンを食おうとしたらさ。

キッチンにいたうちの奥さんが悲鳴を上げたんだ。」

 

タイスが食卓から顔を上げると、2人組の武装強盗が庭に侵入したところだった。

「で、どうしたの?」

私は畳みかけるように尋ねた。

 

タイスは携帯していた銃を抜き、キッチンのガラス越しに強盗2人を撃った。

キッチンのガラスは粉々に砕け、強盗たちはくるりと回れ右をして逃げ出した。

 

そうか、何事もなかったのか。

私は胸をなでおろした。

ドキドキしている私をしり目に、タイスはぼやいた。

 

「キッチンのガラス越しに銃撃したからさ、ガラスが割れちゃってさ。

うちの奥さんにめちゃくちゃ怒られたんだよ、朝から。」

 

タイスはしゅんとしている。

どうやら、タイスにとっては強盗よりも奥さんにガミガミ怒られる方が怖かったようだ。

奥さん、おそるべし。

 

その話を聞いた私の上司は、うんうんとうなずきながら言った。

「強盗も、狙撃者がどれくらい熟練者か分かるらしいからねえ。

タイスの銃撃の腕前を見て、強盗も『ヤバい家に入っちゃった』と思ったんじゃないの。」

 

なるほど。

やはり相当射撃が上手でないと、向こうもビビってくれないわけだ。

慣れていなければ、強盗が庭に侵入してきただけで慌ててしまうに違いない。

左手で朝ごはんのパンを食べながら、右手で拳銃を引き抜く、なんて私には出来そうもないなあ。

 

うちの南ア人の大家さんも、

「小さい拳銃を貸そうか?ハンドバッグに入るサイズだよ!」

と親切に何度も言ってくれたが、ハンドバッグに拳銃を入れて歩きたくない。

他の南ア人の話を聞いても、「みんなそうしている(バッグに拳銃を入れている)」というのだが。

 

かなり射撃の練習をしなければ、標的に当たるわけがない。

さらに、動いている標的に当たるようになるまでは、もっと熟練が必要だ。

そういうことを色々熟考した結果、思った。

やはり、私には高圧電流の有刺鉄線で家を守ってもらう方がいいようだ。

 

ちなみに、私もガードマンを雇っていた。

有刺鉄線&ガードマンのダブル防犯策が功を奏したのか、それとも私の家が小さすぎて貧乏そうに見えたのか、泥棒に入られることはなかった。

 

しかし、ガードマンといえど、南アフリカ人。

帰宅したときに、うちのガードマンが道端でおかゆを作っていた時には、腰が砕けそうになった。

おかゆを作ってないで、しっかり家を見張ってろよ…。

 

まあ、有刺鉄線&ガードマンという防犯対策をしている上に、家に金目の物がなさそうに見える(実際、金目の物はないが)というのも、効果的な防犯対策の一つなんだと思うことにしている。