オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

アフリカ在住25年

 

私はよく、見知らぬ人に道を尋ねられる。

外国人観光客にも、電車の乗り方や〇〇の行き方などを聞かれる。

こんなにたくさん日本人がいるのに、なぜか私をめがけて彼らはやってくる。

なぜなんだ…という記事を以前書いた。

 

なぜ、このことを思い出したかと言うと、最近、ネット記事で「道で話しかけられやすい人」についての記事を読んだからだ。

私はじゃんじゃん外国人観光客に道を尋ねられるのだが、やはりアホそうに見えるからなんだろうか?とちょっと悩む。

 

スペインにいたときに、あるアメリカ人研究者と知り合った。

何を専門に研究されている方か、忘れた。

その人は私と初対面で会ったとたん、満面の笑顔でこんなことを言った。

 

「ああ、もしかして君は海外生活が長いでしょ?」

 

は?

まだ、名前以外、何も言ってないですけど。

大体、海外生活はまだ全然長くないです…。

 

そのあと、彼は私の来し方行く末を根掘り葉掘り聞いた。

そしてそれを聞き終わると、また笑顔になって言った。

 

「やっぱりねえ。君を見て、海外生活が長そうだな~と思ったんだよね。

海外生活が長い人は、独特のオーラがあるからね。」

 

いやいや、だからそんなに長くないですってば。

しかし、それって一体どんなオーラなんだ…。

 

その先生によれば、「海外生活が長い人は、独特のオープンな雰囲気を醸し出している」という。

だから彼は私を見た瞬間、「この人は話しやすそうだ」と思ったのだという。

ホンマかいな。

もしそれが本当なら、私に道で話しかける人は、オープンなオーラ?を私から感じていることになる。

難癖をつけるようで悪いですが、私は海外に行く前から知らない人に道を尋ねられてましたよ…。

 

 

話はすこし変わる。

私の長年の観察によれば、(そしてこれは私の反論だが)、「海外生活が長い人」が必ずしもオープンな性格とは限らない。(と思う)

(ところで海外生活が長いって、どれくらいを「長い」って言うんでしょうか。15年以上?20年以上?)

 

私の周り(上司とか同僚とか仕事関係者とか)は、10年以上海外で働いてきた人が多い。

もちろん、海外生活年数が私よりもはるかに長い方もいる。

しかし、彼らの全員が必ずしもオープンな性格、というわけではない。

日本人とは親しくするが、現地人とは交わらない、という人も中にはいる。

 

他国で生活していても現地料理は食べない、その国で国内旅行もしない、現地人とも話さない。

休暇と言うと、日本へ帰るだけ。

そういう人は現地人と親しくしようとは思わないので、現地人もほとんど話しかけてこない。

魚心あれば水心?(ちょっと違う?)

 

語学がへたくそでも、現地の人と楽しくやっている人は沢山いる。

日本人以外とは親しくしたくない、という気持ちを持っていると、現地人にも伝わるようだ。

 

なので、たとえ海外生活が長い人であっても、他人を拒否している人は、話しかけられることが少ないのでは?というのが、私の観察結果だ。

話しかけやすさは、海外生活の長短には関係ないような気がする。

 

コートジボアールにいたとき、日本大使館に呼ばれたか何かで、西アフリカの地方在住邦人のおじ様たちと会ったことがある。

研究者だったり、在勤する国を変えて同じ分野の仕事をやっていたりと、彼らの仕事は様々だった。

 

めったに日本社会に出てこない、ツチノコのような?おじ様たちだ、と事前に聞いていた。

1人ずつ自己紹介してもらうことになり、最初の1人が言った。

「僕はまだアフリカ初心者でして…」

 

また、そんなことを言って。

謙遜してるんでしょ。

と言われ、そのおじさんは照れながら言った。

 

「アフリカに住み始めて、まだ15年でして。」

(…15年も住んでたら、十分アフリカのプロだよ)

 

次のおじさんも同じように言った。

「僕もまだアフリカのことをよく知らないんですが…アフリカ在住18年目です。」

 

次々におじさんたちは自己紹介していき、最後のおじさん(おじいさん?)が言った。

「僕もアフリカ初心者で。アフリカ在住25年です。」

(25年も住んでて、どこがアフリカ初心者なんだよ…)

 

彼らは日本人だがアフリカ慣れしていて、仙人のような雰囲気を醸し出していた。

不思議なのだが、そこに来たおじ様たちは誰一人として居丈高な雰囲気の方はいなかった。

好々爺というか、みなさん話しかけやすそうな感じだった。

アフリカ生活では思い通りに行かないことも多く、25年も住んでいればだんだん人間が練れてくるんでしょうか。

 

よく考えると、さもありなんという感じもする。

便利な先進国では人と接しなくても生活できるが、不便な途上国では、誰かと接しないと買い物や洗濯、仕事など何も回らない。

25年も不便な国で生活や仕事をするなら、そりゃあ、現地人に助けてもらわないと生活できない。

他人を拒否する余裕なんてないんだろう。

長年、現地人と日々のコミュニケーションを取りながら生活している経験が、表情に出ているんじゃないだろうか。

 

アフリカ在住25年のツチノコおじ様たちが新橋駅とかにいたら、多分すぐに外国人観光客に道を聞かれるでしょうね。

彼らに比べたら、私なんかまだまだです(←一体どこを目指しているんだ)。

 

どうでもいいが、レオナルド・ディカプリオも見知らぬ人に話しかけられるタイプらしい。

変装しても話しかけられるという。

芸能人だから、やっぱり普通じゃないオーラがあるんだろう。

結局、人から話しかけられやすいオーラって、相手を受け入れる気持ちがある、というオーラなんでしょうか。