オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

断食

 

先日、インドネシアの断食期間について記事を書いた時に、思い出したことがある。

 

断食(ラマダン)は1か月において行われる。

断食開始日をどうやって決定するのかというと、その年の月を見て、イスラム導師たちが決定する。

月の満ち欠けを確認して決めるので、毎年2週間くらい後ろにずれていくのだ。

 

「だいたい〇日でしょ、だいたい」

と思うが、一応毎年、導師たちが夜に月の様子を観察し、その年の断食開始日を決定するというプロセスを踏んでいる。

 

イスラム教徒たちは、日の出前には食事が出来る。

日中は、食事はおろか水など飲み物も飲めないし、戒律に厳しい人は唾を飲み込むこともご法度なのだそう。

日が暮れるとようやく食事をしてもいいことになっている。

 

断食をする必要のない人は、赤ちゃん、病気の人、生理中の女性等だ。

旅行中の人も例外が認められるとか聞く。

でも女性にとっては、断食やらないと生理中だというのが分かるから、ちょっと嫌ですよね。

 

食事が食べられる合図として、太鼓をたたきならすことになっている。

子どもにこのお役目が与えられることもある。

どうやら、インドネシアの大人たちは、『子どもの頃、この太鼓を叩いて食事時間を知らせたなあ』というのが、良き思い出になっているようだ。

太鼓と、太鼓を叩くバチ(スティック)は、断食のモチーフになっている。

 

断食中は昼食を取れないので、会社ではイスラム教徒のスタッフは昼食休憩を取らずに仕事をする。

そのぶん、1時間早く退出できるわけだ。

 

断食が始まると、いろいろと仕事のやりくりが発生する。

なぜかというと、断食期間はインドネシアではすべてがスローになる。

ビザ申請も通常の1.5倍の時間がかかる。

 

断食期間は午後のミーティングはほぼ不可能だ。(みんな早く帰宅したいらしい)

日本人だけで完結する仕事を午後に持ってくるとか、工夫が必要だ。

イスラム教徒相手の仕事は、すべて余裕をもった日程にしないと間に合わなくなってしまうのだ。

 

おまけに断食期間中は、昼間に食事が出来ない、水も飲めないとなると、彼らもだんだん疲労がたまってくる。

断食期間中には交通事故件数が増加するらしい。

まあ、そりゃねえ。

食事が出来なかったら、そりゃイライラするわな。

 

こんな記事を読んだことがある。

インドネシアはGoFoodとか料理のデリバリーが盛んなのだが、たいてい配達員は貧しいインドネシア人だ。

 

ある女性が、断食期間中に食事のデリバリーを頼んだ。

住所が分かりにくかったか何かの理由で、配達員から連絡があった。

何とか家を探し当てて、料理を届けてくれた。

その配達員は出前が遅れたことを謝罪し、非常に感じが良かったらしい。

 

しばらくして、その女性は再び料理の宅配を頼んだ。

あの配達員の名前を憶えていたので、彼を指名した。

そして、配達員が料理を受け取ったのを確認し、彼に連絡をした。

 

「その料理は届けてもらわなくていいわ。」

その女性が言うと、配達員は戸惑ったように尋ねた。

「どうしてですか?」

女性は代わりに彼に尋ねた。

「あなたはもう、夕食を食べたの?」

 

配達員はまだ食べていない、と答えた。

ちょうど、断食時間が終わるころを見計らって、彼女は注文を出したのだ。

「それはあなたのために注文したのよ。ぜひ、今晩の夕食にしてちょうだい。」

だから、彼女宅に届ける必要が無い、というわけだった。

 

そんな高級な料理を食べたことのない配達員は感激した。

その女性は、配達員の身なりが貧しかったことを覚えていたのだ。

その配達員がSNSにこの話を投稿したことで、私はこの話を読んだ。

 

その女性はキリスト教徒で、断食期間でも頑張って働いているイスラム教徒と一緒に、断食を祝いたかったのだという。

ふだんはイスラム教徒に社会の隅に追いやられている?キリスト教徒の人でも、こういう感情を持っているんだな~と私は感心した。

 

断食期間中は、レストランはカーテンでおおわれる。

昼間は営業していない店もあるが、たいていはカーテンをかけて営業しているようだ。

食べている姿をイスラム教徒に見せない配慮だ。

優しい日本人の中には、自分もインドネシア人と一緒に断食をして、体調を崩す人もいる。

私は、すみません、断食をやろうとも思いませんでした…。

 

断食の最後の日は、イスラム教徒の友人たちと一緒にお祝いの食事をする。

私も混ぜてもらうことがある。

自分はイスラム教徒ではないが(しかも苦しい思いをして断食をしていないが)、イスラム教徒たちと共に断食終了を祝う。

何だかいいものだ。

 

断食が明けると、断食明け大祭(レバラン休暇)が10日間ほど行われる。

日本のお盆と同様で、みんな実家へ帰省する。

2億人が大移動するのはなかなかの見ものだ。

 

インドネシア人の足はバイクだ。

鳥好きの彼らが大きな鳥かごをバイクにくくりつけて、ペットの鳥と実家に帰省するのはほほえましい。

 

中には山脈をバイクで横断(縦断?)して実家に帰るつわものもいる。

もちろん1日で帰れないので、途中のモスクに泊まらせてもらうのだ。

 

レバラン休暇中は、ジャカルタは死んだように静まり返る。

全く仕事が進まないので、この期間は休暇を取って日本へ帰ることもある。

 

私は植物好きで、ジャカルタの自宅に観葉植物を3つほど持っていた。

自分が旅行中に、どうやって植物に水を上げたらいいんだろう…と困ってしまった。

考えあぐねて、アパートのマネジメントオフィスへ行き、その話をした。

 

すると、事務のお兄さんはこう言った。

「うちのアパートには庭師セクションがあるので、彼らに預けよう」

なるほど。

プロなら安心だ。

 

日本出発日に、植木鉢3つをマネジメントに預けた。

ジャカルタに戻ったら、引き取りに来るからね。

 

そして、日本からジャカルタに戻った日。

スーツケースを自宅に突っ込んだあと、いそいそと観葉植物を取りに行く。

受付嬢に、日本帰国前に預けた観葉植物を取りに来た、と告げる。

 

5分ほど待っていると、植木鉢を2つ手にした男性が現れた。

「あれ?3つ預けたんだけど、どうして2つになったの?」

 

驚いた私が尋ねると、男性は困った顔になった。

「それはその…3つあったんだけど、2つの植木鉢に植え替えたんだよ。」

なんでそんな勝手なことをやるんだよ。

大体、3つの植木鉢を2つにしたなら、もう1つの植木鉢はどうしたんだ。

 

私が固い表情になったせいか、庭師セクションの男性は戸惑った顔になった。

「そ、その…僕は途中から引き継いだんで、よく知らないんだ。」

 

私はその2つの植木鉢をしげしげと見た。

その植木鉢に植わっている植物は、1つは私の観葉植物だが、もう1つは見知らぬ植物だ。

(おまけに、3つの植物を2つの鉢に入れたと言ったが、2つしかないじゃないか)

 

私は見知らぬ植物を指さして言った。

「これ、私の植物じゃないよ。」

 

そう指摘すると、彼はおびえたようになり、その感情が過ぎると再び困惑した顔になった。

もう、言い訳が見つからないらしい。

 

はいはい。

分かりましたよ。

『自分は何も知らない』んでしょ。

 

腹立たしかったが、その2つの植木鉢を引き取った。

その後、奴らに預けなかったことは言うまでもない。

多分、自分たちもレバラン休暇で、ろくに私の観葉植物の世話をしていなかったのだろう。

 

それに懲りて、休暇中に水を植物にあげるシステムをYouTubeで検索し、自作した。

一体、インドネシア人とはいいやつなのか、そうでないのか。

 

私は別に寛容な人間なわけではない。

でも、今までの経験から、こういうときに犯人探しをしても時間と労力の無駄であることが分かっている。

犯人は分からず、徒労と疲労だけが自分側に残るのだ(そして奴らは反省ゼロだ!!)。

 

これに似たような話を、日本人の知り合いから聞いたことがある。

彼は洗濯機が壊れたので、自宅近くの洗濯屋さんへ自分の服を洗濯に出した。

洗濯屋と言っても、たらいと水で手洗いをし、自宅に張り巡らせたひもに客の洗濯物を干すだけの店だ。

 

自分の服を取りに行くと、「これがあなたの服だよ」と洗濯物が返ってきた。

見ると、自分のバティック(インドネシアの民族衣装。普段も着られるシャツです)が無い。

代わりに、他人のバティックが混ざっていた。

 

これは自分の服じゃないんだが、とクレームをつけても、

「お前の服は誰かの洗濯物にまぎれて、どこへ行ったのか分からない」

「いいじゃないか、このバティック着れば(って他人の服だが)」

と取り付く島もない。

 

しかし、洗濯機が壊れているので洗濯屋を利用するしかない。

そんなことを数回繰り返しているうちに、自分の服は消え、代わりに他人の服が回ってくる。

今や他人の服を着ているのだ、という。

(金は天下の回り物と言いますが、服も回り物だったのですね)

 

最初は腹が立ったが、まあ、こういう国だからあきらめたそうだ。

(私なら、手間暇かけて自分の服を取り返すなあ…)

 

まあ、よく考えると日本だって同様なんでしょうね。

きっちり仕事をやってくれるはずだ、と期待する方が間違っているのかも。

と、思うようにしている。

でも、私は未熟なせいか、怒りを抑えきれず、たまに海外で爆発してしまうんですけどね。笑

日本では激怒しないよう気を付けなければ。

 

一応、インドネシアの良い点も分かっているつもりなんですけどね(インドネシア愛もお伝えしているつもりです)。

私の記事を読んで、「まあ、あの国ってひどいわ」と思わないでいただきたいです。

どの国もいい点悪い点があるのだと思います。

相手の悪いところばかりを見ないようには心掛けているので、たまの爆発は許してくださいませ。