履修クラス登録用紙に自分の氏名・年齢・住所、および専攻を記入する。
それだけではなく、自分が属する人種や自分の宗教についてチェックリストに印をつけるのだ。
(個人情報保護が厳しくなり、今はこんな情報を提出させていないでしょうけど)
カトリック、プロテスタント、仏教、ヒンドゥー教…等々の選択肢があった。
「宗教が無い」というのもあった。
私は、多くの日本人同様、特に信仰する宗教はない。
日本では「信じる宗教が無い」というのは一般的?で、大した問題ではない。
でも、アメリカでは違うようだ。
アメリカへ行った当初は、そういうアメリカ的考え方が分からなかった。
「君の宗教は何だ?」
と聞かれて、正直に「特にないなあ」と言ったら、相手は目をむいた。
「本当に宗教が無いの?ありえない!!」
から始まり、無神論者か?とか、なぜ神を信じないんだ、と大騒ぎになった。
なんで『宗教が無い』がそこまで大問題なのか?
と思っていたら、次の質問で謎が氷解した。
「宗教を信じていないってことは、君にはモラルが無いのか!」
なるほど。
宗教を信じる=モラル、道徳を学んでいる、ってアメリカ人は思ってるのか。
「宗教が無い」と答えると、私が道徳心のない犯罪者もどきか、貞操観念のないふしだらな女と思う人もいた。
失礼な。
アメリカ人は教会で道徳を学んでいるのかもしれんが、モラルなんて教会へ行かなくても学べるぞ。
それに、『宗教が無い→宗教を否定している→共産主義者』
なんて飛躍して考える人もいた。
そんなこと一言も言ってないのに、である。
こんな面倒な事態に何度も陥って、ようやく学んだ。
アメリカでは「特に信仰している宗教は無い」なんてうっかり言おうものなら、相手が過剰反応し、釈明を要求されることが分かってきた。(相手にもよりますが)
事情が分かったので、面倒を避けるために以後「仏教」と答えることにした。
仏教について詳しいアメリカ人はそうそういないので、これで宗教問題をかわすことができる。
と思ったら、仏教に興味津々のアメリカ人もいた。
うっかり「私の宗教は仏教」なんて適当に言ったら、
「俺にも教えてくれ!アジアをリスペクトしてるんだ」
なんて言い始めた。
いや、仏教について知らないんですが…(じゃあ仏教徒と言うな、ってことですが)
結局、宗教があってもなくても面倒くさい。
海外に行く人へのアドバイスとして、「政治と宗教の話はしない方がいい」というのがある。
この2つの話題は現地人と面倒くさいことになるので、正しいアドバイスではある。
しかし、避けようと思っているのにこの話題をせざるを得なくなる時もある。
私はうっかりドツボにはまった口だ(しかも何度も)。
海外経験の豊富な方々は、この話題をうまくかわすすべを身につけているんだと思います。
どんな戦術でこの話題をかわしているのか、名案を教えてもらいたいです。
うちの大学も、私が「無宗教」になったり「仏教」になったり「神道」になったり、毎学期違う宗教を申告することを不審に思わなかったんだろうか?
ま、「自由の国」なので、宗教をコロコロ変えようと自由なのかもしれないですが。