オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

杏仁豆腐

 

ずっと前から気になっていた中華の店に入ってみた。

その店は、いつも昼頃になると3種類くらいの「その日のおススメ」を店頭に出している。

昨日のおススメはレバニラ炒め定食、チャーハンとラーメンセット、それと何かの定食セットだった。

 

昨日の日曜日は、フランス語検定だった。

フランス語検定を受験する前から「日曜日は町中華を攻めるぞ」と決めていた。

おかしなもので、フランス語試験を受けている間も「フランス語が終わったら中華」と時折思い返していた。

フランス語に集中しろよ、と何度思ったことか。

どれだけ食い意地が張っているのか、我ながら恥ずかしい。

 

仏検が終わってからいそいそと、その中華の店へ足を向けた。

入ったことのない店に入るのは、結構勇気がいる。

 

店の前の食品サンプルを見る。

定食がおいしそうだが、いや、麺類もおいしそうだな…。

店の前で逡巡した挙句、いいや、入っちゃえ!と入ることにした。

 

中は想像よりもきれいだった。

町中華というと、庶民的というか、少し汚れた感じのイメージがあった(勝手な偏見ですが)。

天井から下がる赤いランプなんかは中華色を出しているんだろうけれど、まあ普通のお店。

女性だけで食べている人もいて、なーんだ、女性も気軽に入れる店なのか、と拍子抜け。

ガード下にあるので、女性一人で入るのは勇気が要ったのです。

 

案内してくれるのかと思いきや、女性店員のおばさまから「開いてるところに座ってください!」の声が飛ぶ。

はいはい…と空いた席を見渡して座ろうとすると、レジの若い兄ちゃんが「レジで注文してください!」と叫ぶ。

いったいどうすりゃいいんだ。

 

とりあえず、空いている席にカバンを置いてキープする。

レジで「ニラレバ炒め定食」を頼もうと思ったが、壁一面に美味しそうなメニューが…。

 

外から見ると分からなかったが、思ったよりたくさんメニューがあった。

早く言ってくれ。

楽しく迷ったのに。

 

少し寒かったせいか、誰しもおいしそうに麺をすすっていた。

おいしそうなにおい。

迷うなあ…。

いや、やはりレバニラ炒め定食にする。

 

「レバニラ炒め定食」

と頼むと、レジの兄ちゃん(中国人だった)は矢継ぎ早に聞く。

「ラーメン付き?スープ付き?」

そんなに選択肢があるのか!(衝撃)

スープ付きにしておく。

ラーメン付きなんて、食べきれるわけがない。

 

やれやれ注文終了、と思ったら今度は兄ちゃんがメニューを指さしながら聞く。

「サラダ付き?デザート付き?」

そんなのメニューに書いてないぞ。

どんだけ選択肢があるんだ?

 

「デザートは何ですか?」

と聞くと、杏仁豆腐だという。

杏仁豆腐は好きだが、どうして日本では「中華のデザート」というと、ほぼ100%杏仁豆腐なんだろう?

 

「杏仁豆腐か…じゃあサラダにする」

と言うと、中国人の兄ちゃんはニヤッと笑った。

ちょっと冷たすぎる言い方でしたか?

でも、「中国料理のデザート=杏仁豆腐」という安易な考えが嫌なんですよ。

 

運ばれてきたレバニラ炒め定食。

サラダはレタスとキャベツにドレッシングがかかっているだけの代物で、これは今一つだった。

しかし、後はいたって普通。

レバニラ炒めも野菜たっぷりだし、スープと漬物も普通。

ご飯はちょっと多すぎるかな。

しかしこれで750円ならまずまずかな。

 

隣の人たちがすする麺類がむちゃくちゃおいしそうだ。

以前の同僚で、「店で注文した後もメニューを見る」という人がいた。

彼も私同様、注文した後にほかのメニューがおいしそうに見えるタイプだった。

お互い似ているからか、彼とは非常に気が合った。

 

壁に貼られたメニューの充実ぶりを見て、この店のメニューが充実しているのに再度驚く。

次回は何を食べようかな…(次回も来る気満々)。

(本当に食い意地が張っていて恥ずかしい)。

 

肉類、魚介類、麺類、ご飯もの、いずれもおいしそうなんだが、どうにかならんのか、杏仁豆腐。

中国へまだ足を踏み入れたことが無いので間違っている可能性もあるが、私の調査によれば、中華のデザートといえばまだほかにもあるはず。

ごま団子とか、白玉みたいなヤツとか、マンゴープリン?とか。

それとも、日本では杏仁豆腐が一番売れるから杏仁豆腐を出しておこう、と思ってるのだろうか。

どこへ行っても杏仁豆腐一辺倒だ。

 

これだけメニューがあるんだから、デザートも選べるといいんだけどなあ。

私は杏仁豆腐が好きではある。

しかし、複数の選択肢からデザートを選びたい、となると、町中華ではなくもっと高級なお店へ行くしかないのかな。

 

インドネシアには中国系インドネシア人がたくさん住んでいるので、中国料理店で頼めるデザートが色々あったのである。

それらが懐かしい。

むしろ、インドネシアでは杏仁豆腐はあまり見かけなかった。

 

これは私の勝手な推理だが、日本人はさっぱりしている食事を好むので、中華の後に揚げ団子なんて頼む日本人はいないのかもしれないなあ。

だからひんやり淡白な杏仁豆腐が定番化したのかも。

 

私が子どもの頃、中華料理店で杏仁豆腐がデザートとして出てくることはなかった。

いつの間にか、日本の中華料理店では杏仁豆腐が定着したみたいだ。

なぜ杏仁豆腐が日本人に好まれるようになったのか、詳しい人がいたら聞いてみたい。

 

と思っていたら、タイミングよく?中国語通訳者の友人から飲み会のお誘いがあった。

彼女に聞いてみたい。

杏仁豆腐って、中国でもデザートの定番なんでしょうかねえ?と。