年末に某観光地へ行ったことはすでに書いた。
12月31日は観光地A、1月1日は移動して観光地Bへ行った。
観光地Bのもより駅に降りたら、駅前にシャトルバスが待っていた。
無料だという。
じゃあ、乗ります。
ちょうどシャトルバスが到着したばかりだったので、私は座ることが出来た。
そして出発まで車内でしばらく待った。
次の電車、その次の電車が駅に次々に到着し、観光地Bへ行く客がバスに乗り込んできた。
バスが乗客で一杯になり、ようやく出発。
Bへ行く人、結構いるんですね。
12月31日に行った観光地Aの方は、場所をあらかじめ地図で調べておいた。
もより駅からどちら方面へ行くのか。北か南か。
駅から歩ける距離か。歩けるなら何分くらいか。目印は。
しかし、1月1日に訪れた観光地Bの方は、一度地図を見たきりで何も覚えていなかった。
駅に着いたら場所を確認すればいいや、と思っていたのだ。(←行き当たりばったり)
なので、無料シャトルバスはありがたかった。
しかしシャトルバスが出ているってことは、駅から遠いよね、たぶん。
バスが出発し、結構な道のりを移動。
歩いたら大変だったな、と気づいてホッとする。
(ちゃんと調べてきなさいよ…。)
観光地B近隣の駐車場にあるバス乗り場に到着し、バスから降りる。
帰りのバス出発時刻も見ておく。
そしてBへ向かったのだが、これもバス乗り場から結構遠かった…。
いろいろ見て回った後、観光が終了。
バス乗り場までかなり歩かなければならないので、早めにバス乗り場へ向かう。
途中で、やっぱり迷子になった(こういうアクシデントを予期して、時間に余裕をもって移動したのです)。
やっとバス乗り場へ到着!
バス乗り場には、まだ誰もいなかった。
ということは、帰りも余裕で座れるぞ!(ちょっとうれしい)
まだバスの出発時間まで時間があったので、わき道に移動して荷物整理をする。
買ったお土産をリュックに詰め込み、財布を取り出し、デジカメやスマホをしまう。
作業を終えてバス乗り場に戻ると、あれ?
先ほどはいなかった二人連れが、バス乗り場に立っていた。
まあ、でもいいや。
わき道にそれていた自分が悪いのだから。
彼らだって、私が一番に来て待っていたなんて知らなかっただろう。
それでも3番目だから、まあいい。(3番目ならまだバスに座れるし)
と思いながら、その二人組の後ろに並んだ。
大学生くらいの若い男性二人組だった。
彼らの後ろに並んだ私は、あれ?と再度思った。
彼らが話しているのは中国語だった。
留学生かな?研修生かな?
ふーん。
やっぱり年末年始休暇だから、中国人留学生もこういう場所に来るのかな。
そんなことを私はぼんやりと考えた。
そうしているうちにどんどん人がやって来て、私の後ろに並んでいった。
すでに数人が並んでいる。
後ろに並んだ人たちの話を聞いていると、『早めに観光を済ませて帰宅し、ゆっくりしよう』ということらしかった。
私も同じようなことを考えて、早めの帰途に就いたわけだ。
すでにバス乗り場には10人近くが並んでいた。
すると、近くで交通整理をしていたおじさんが我々に言った。
「ちょっとちょっと。こっちに並ぶと車が通れないんだよね。逆側に並んでくれる?」
なるほど。
我々の列は、車道をふさいでいるらしい。
移動しなければ。
先頭の中国人二人組は、おじさんに言われたことが理解できなかったようだった。
二人で顔を見合わせている。
私は二人組が立っている反対側に移動した。
すると、私の後ろに並んでいた日本人たちもぞろぞろと逆側に移動した。
そしてまた何事もなかったように、中国人二人を先頭にして道の反対側に列が伸びた。
ミッションコンプリート。
中国人の若者二人は日本人がぞろぞろ移動したのを見て、戸惑った様子だった。
しかし自分たちの後ろに並んでいた日本人が反対側に並び直したのを見て、おじさんに言われたことがようやく理解できたようだった。
なるほど。
私は二人組の様子を観察して、ようやく気づいた。
彼らはどうも、日本語の理解力がそんなにないらしい。
そのままバスを待っていると、また別のグループがバス乗り場へ近づいてきた。
彼らもバスに乗って駅に戻るのだろう。
先頭のおじさんが、中国人二人組に話しかけた。
「あ、もしかしてこっちが一番前ですか?」
そのおじさんは、自分が並ぶべき列の最後尾を知るため、彼らに尋ねたようだった。
おじさんに何を聞かれたか分からず、困惑する中国人二人。
彼らの反応が悪いので、おじさんは自分の言ったことが聞こえなかったのかと誤解したようだった。
また大声で尋ねる。
「こっちが一番前?前?」
「え…あ…。」
答えられない中国人二人。
ここまで日本語が分からないなら、彼らは留学生じゃないんだろうなあ。
日本へ来たばかりなんだろうか?
ちょっとかわいそうになってきた。
助け舟を出すべきだろうか。
こっちが前ですよ、と私が言おうとしたら、おじさんは勝手に理解したようだった。
最後尾を指さして、再び若者二人に尋ねた。
「あ、あっちが後ろ?あっちが後ろだよね?ね?」
だよね、と言われても、中国人二人は「ああ…ええ…」と文章にならない返事をするしかない。
おじさんは勝手に合点して、列の一番後ろについた。
一件落着。
「はい」
「いいえ」
「わかりません」
くらい覚えておけよ…。
日本語が分からなくてもさあ。
あるいはおじさんの話すスピードがネイティブ過ぎて?分からなかったんだろうか。
一般的日本人は、日本語の文法無視でしゃべるからなあ。
私は、脳内でおじさんの言った文章をインドネシア語とかフランス語にしてみる。
意味は分かっても、相手の話すスピードが速すぎてすぐに返答を返せないと、あわわ…と緊張しちゃうよね。
『何となく、こんなことを言っているのかもしれない』
と推察する能力って、結構大事なんだと思う。
私なんぞ新しい語学を覚える記憶力が衰えているので、この「推察力」だけで海外を歩いているようなものだ。(記憶力の衰えは自慢じゃないが…いや自慢か?)
ところで。
今になってもう一つ気づいた。
自分の分かる言語を話す人と常に一緒にいると、全然外国語が上達しない。
アメリカにいたとき、特に私はそうだった。
渡米した当初は英語が分からないので、日本人留学生同士でいつも固まって行動していた。
日本人同士なので英語を話す必要はなく、常に日本語を話すわけです。
そんな毎日を送っていると、全然英語がうまくならない。
一人で行動するように心がけると、当然ながらどうしても英語を話さなければならなくなる。
アメリカ人が話しかけてきたら英語を話さないと、その場を切り抜けられないですよね。
そうして一人で行動するようにしてから、少しずつ英語が上達していったわけです。
スペインも、コートジボアールも、インドネシアも、どこも同じ。
その国の言葉を話す努力を自分がしない限り、語学が上達することはない。
あの中国人の若者二人もなるべく一人で行動するようにすれば、嫌でも日本語が上達するだろう。
そんなことを考えながら、帰宅しました。
でも、海外で一人で行動、って勇気がいりますよね。
がんばってほしいな。
一生懸命カタコトの日本語を話す外国人に、周りの日本人はそんなに冷たくないと思いますよ。
たま~に感じの悪いヤツがいますが、そんなヤツは無視無視。
たいていの人は、「俺らの言語を話そうとがんばってるんだな」くらいの温かい目で見守ってくれると思う。
日本語が上達して、来年は日本人の友達と観光地へ遊びに行けるといいですね。