オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

 

どうでもいい?話を一つさせてください。

「話をするときは、要点を3つにまとめると聞き手が理解しやすい」という。

 

言いたいことは分からなくもない。

3つ以上のポイントがあると、最初に出されたポイントを忘れてしまう。

だらだら長く話しても、聞いている人の頭に入らないものだ。

そんな記事を読んで思い出した。

 

以前、自分の業務の進め方について上司に相談をしたことがある。

相手は、話が長いことで有名なW部長だった。

 

W部長の話が長いのは、今までの経験から私は良く知っていた。

その日、私は本当に仕事が押していて焦っていた。

部長に話を通さなければならないが、かといって長い話に付き合いたくはない。

確認を取り次第、すぐに業務に戻って仕事を進めたかった。

 

どうやって部長との話を短く済ませるか。

私は一計を案じた。

 

部長に主導権を渡さなければ良い。

つまり私のペースで話を進めれば、相談はすぐに終わるだろう。

そこで、部長に声をかける前に、頭の中でこんな感じに話をまとめてみた。

 

「~という事情で、○○をしたい。

これに対する選択肢はAとBがある。

私はAが良いと思う。理由は××だからだ。

というわけで、Aで進めてよろしいでしょうか?」

 

こうやって話を持っていけば、部長もAでいいよ、というだろう(誘導)。

そうすれば、話は1分で終わるはずだ。

要は、私が話を短く切り上げればいいのだ。

 

ここまで考えて、私は満足した。

部長との話は1分で終わらせる。

すぐ引き上げるぞ。

私は満を持して、W部長に声をかけた。

 

私の説明を聞くと、部長はAでいいよ、というようなことを言った。

よしよし。

これで部長との話は終了だ。

短く済んでよかったよかった。

私の作戦勝ちだ。

 

「部長、ありがとうございました。さっそくAで進めます。」

 

と、私が背を向けようとした瞬間。

部長は違うことを思いついたらしく、ニコニコしながら私に言った。

 

「いやあ、僕も思うんだがね。仕事ってのはね」

 

む?

なんだか妙な展開になってきた。

話が長くなるのはやめてくれ。

こっちは忙しいんだよ。

 

私は持参した資料を両手に持ち、自分の席に戻るそぶりを見せ、「話は終了」オーラを出した(つもりだった)。

しかし、そんな私を全無視ししながらW部長は続けた。

 

「業務の進め方について、僕は常々思うんだけどね。大事なことは2つある。」

 

私は観念した。

もう、部長は「自分がしゃべりたい」気持ちでいっぱいなのだ。

何をしゃべりたいのか分からんが、部下に指導したくてウズウズしているのだろう。

そんなにヒマなら、私の仕事を手伝ってくれてもよさそうなものだが。

 

部長は続けた。

「まず1つ目はこうだ。…」

 

私は部長の話を聞いているふりをしながら、内心(あ~あ、この時間があったら一本メールが打てるんだが)と思った。

部長は嬉しそうに語っているが、私の相談事には何も関係ない。

長々と話をされ、私にとってはただの苦行である。

早く終わってくれ…。

 

私の仏頂面もものともせず、得意になってW部長は続けた。

 

「2つ目は、『××だ』ということだ。それは…」

 

私、無言。

ホント、話が長いよ。

2つ目の要点まで来たのだから、もうそろそろW部長の話も終わるだろう。

頼む、早く終わってくれ。

 

「…ということだ。」

 

W部長はしめくくった。

部長の話がようやく終わったので、私は安どのため息を漏らした。

やれやれ。

 

すると、W部長は言った。

 

「そして、ポイントの3つ目だ。」

 

私はW部長の顔を思わず見た。

部長は得意満面で話を続けている。

 

おい! (怒)

さっき、『大事なことは2つある』って言ったじゃないか!

どうして3つ目があるんだよ!!(←悪鬼の形相)

 

私は部長につっこみたくてたまらなくなった。

 

「部長、大切なことは2つじゃなかったでしたっけ」と言おうと、何度も思った。

しかし、W部長が嬉々として長広舌をふるっているのを見ると、何も言えなくなった。

矛盾をつっこむと、また話が長くなる恐れがある。

 

もはや、1つ目のポイントも2つ目のポイントも覚えていない。

「大切なことは2つでしたよねえ?!」とつっこみたくてたまらない。

3つ目を長々と説明する部長の前で、私はひたすら耐えた。

 

ようやくW部長の長い話は終わった。

私にとっても、長い長い苦行だった。

 

まさに、「話のポイントは3つにする」の典型的な例だった。

管理職に就いて長く経つと、「話のポイントは3つにする」ことがしみついているのだろう。

 

他人(部下)に自分の言いたいことを伝えるのは、本当に難しい。

「話のポイントを3つに絞るのが、仕事のできる人だ」なんて言われると、私は抵抗感を覚える。

3つ目の重要なポイントが無ければ、2つだけで終わらせてくれて構わない。

いや、しかし「3」という数字に安定感があるから、話者に満足感を与えるのかもしれないですけど。

 

ちなみに、その時W部長が語った話の内容を、私は一切覚えていない。

そんなもんだ。

いくら上司が「部下に指導してやろう」なんて思いついても、部下は上司の話の内容を99%覚えていないものだ。(私だけ?)

 

だから話の要点は、本当は1つでいいんだろうと思う。

要点を3つにしたからといって、部下が覚えているわけでもないのだ。

 

一番良いのは、「選択肢Aでいいよ」と私に許可を与えたら、そこで話をすっぱり終了させることだった、と今も思っている。

まあ、いずれにしても相手の心に残る話をするのは、難しいものです。