オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

思い込み

 

言葉の分からない国でトイレに行くのは、なかなかハードルが高い。

そもそもトイレを探すのも大変だ。

 

日本の場合、男性トイレには、ズボンをはいた男性らしき人物のシルエットが描かれたプレートが掲示してある。

女性はスカートをはいた人物だ。

男性は青、女性は赤の表示となっている。

多くの国でも、そのような色のチョイスとなっているようだ。

だから「女性」と言う文字を探さずとも、赤い表示があればそっち側のトイレに私はさっさと入ってしまう。

 

しかし。

一度だけ、男性が赤(ピンクっぽい?)、女性が青のトイレ表示をどこかの国で見たことがある。

赤=女子トイレ、と思い込んでいたので、うっかり男性側に入ってしまった。

思い込みは恐ろしい。

 

入ると、男性用便器がずらりと並んでいた。

「しまった、間違った!」

慌ててトイレから出て入り口の表示を見ると、赤いプレートに「MEN」と書いてあった。

(そして、女子トイレには青いプレートが掲示されていた)

なんでまたそんな紛らわしい表示をするんだよ…と思った。

 

でも、赤=女性、青=男性、と法律で決まっているわけでもないしねえ。

思い込んでいる自分が悪いんだろうなあ。

赤=女性、と世界中の人が思っているわけでもないらしい。

 

今の小学生は、ランドセルと言えば緑とか黄色、ラベンダー色なぞ多色から選べる。

しかし、私が子供の頃は女子=赤、男子=黒のランドセル、と決まっていた。

どうして女子は常に赤なんでしょうかね。

男子だってカッコいい赤のランドセルが欲しいだろうに。

女子=赤、と社会的に刷り込まれているからこそ、確認せずにトイレに入る勘違い(てか思い込み)が起きるのだ。

 

先日、初めて行ったショッピングモールでトイレに行きたくなった。

モール内であちこち探して回ったが、どこにもトイレらしき標識が無い。

困った…と思っているうちに、だんだん切羽詰まってきた。

モール内の各店舗に一つ一つ入り、店内にトイレがあるかどうか探した。

しかし、どの店舗にもトイレは設置されていない。

 

「そうだ、店内にトイレが無ければ店外にあるかも?」

そう思いついた。

となるとモールの真ん中にあるのではなく、端っこにあるのかも。

 

モールの一番東側へ速足気味に行ってみたが、何もなし。

くっそ~。ここまで歩いて損した。

 

ってことは、一番西側か。

私はトイレを我慢しながら、モールの反対側へ足を向けた。

こういうときに限って、やたらと大きなモールで腹立たしい。

 

モールの西側へ出ると、小さな建物が見えた。

おおっ、これか?

私は駆け足でそちらへ走り寄った。

 

あれ?

女性トイレはどこだ?

赤と青の表示がない。

 

その建物には、「トイレ」という掲示が見当たらなかった。

青と赤の表示を探す私は、その建物を通り過ぎてしまった。

やはり無いなあ。

じゃ、今、通り過ぎた小さな設備が、もしかしてトイレ?

 

私は引き返して、その小さな建物の入り口をよく見た。

すると、入り口らしきものが2つあった。

 

男子トイレには「MEN」と書かれたプレートが掲示されていたが、西日ですっかり色あせている。

プレートはほぼ真っ白で、文字はすっかり薄れている。

よく見れば、かつては青い文字だったのだろう、と推測されるような代物だ。

これは気づきにくいな。

 

で、肝心の女子トイレだ。

男子トイレがあるなら、隣接しているのが女子トイレのはずだ。

私は、真っ白に色があせた「MEN」の表示があるトイレの隣を見た。

 

あった。

女子トイレが。

 

しかし、あるにはあったが、入口に黒々と「WOMON」と書いてある。

なんだよWOMONって…。

もはや読み方さえ分からん。

WAONとかワモンダコとか、どうでもいい単語が頭の中を駆け巡る。(←こんなの多分私だけ)

 

WOMENじゃなかったので、通り過ぎてしまったらしい。

どうも、私の目は「WOMEN」という字体に慣れ過ぎているようだ。

間違っているということさえ、すぐには認識できなかった。

たぶん、「WOMEN」と書いてあれば、何も考えずにトイレに飛び込んだだろう。

 

その時、私は本当にトイレが切羽詰まっていた。

ようやく女子トイレを発見し肩の荷が下りたわけだが、トイレ一つ見つけるのにまたえらく時間がかったものだ。

そこで、トイレの中で考えた。

 

スペルミスのせいで?すぐに女子トイレに気づかなかった。(いや、単に切羽詰まっていただけでしょ)

「MEN」と記載されたトイレがあれば、その隣はたいてい「WOMEN」のはず、という推理も働かせることができたはず。

しかし、男性トイレのプレートが色あせ過ぎてほぼ真っ白だったのも、敗因の一つだ。

 

片方のトイレの表示が真っ白に消え、もう一方はWOMONと表示されている。

これじゃ、私じゃなくても分からないよ…と思うのだが、いかがなものだろう。

 

この一連の探索の間、トイレが切羽詰まっていたのも腹立たしさに拍車をかける原因だ。

腹いせに「WOMON」と書いてある入口の写真を撮影しておいた。(妙なところへ怒りが向かう)

 

思い込みとは、自分の判断を狂わせるものだ。

特に切羽詰まっている時は、じっくり止まって考える余裕が無い。

 

いや、しかしねえ。

WOMENくらい、中学レベルの英語なんだからさあ。

調べて書けよ…といまだに根に持っている(笑)。