オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

親の呪い

 

連休だ。

 

例の、親の呪いがかかっている子が我が家に遊びに来た。

何日間か泊って行った。

今年は10連休が取れたので、気分転換に来たのだという。

 

滞在中、彼女から話をじっくり聞くことが出来た。

…というよりも、彼女はひっきりなしにしゃべりまくる。

圧倒されてしまった。

 

それってストレスのせい?

落ち着きのなさに、ちょっと驚かされましたよ。

 

一人暮らしをしている友人たちも、会うと饒舌だ。

一人で生活をしていると「どうでもいいこと」を話す相手がいない。

なので、たまに誰かに会うと話したくて仕方ないらしい。

 

この2、3年はコロナの外出自粛で、出かけたり人と話したりする機会が激減した人も多かったろう。

そのせいか、「たまに会うと話が止まらない」人が増えた気がする。

 

私が彼女を知ったのは、もう結構前になる。

その時は、本人の言う通りちょっと「どんくさい」子だな、と思った程度だ。

 

今回、我が家で話を聞いてびっくりした。

複数の病院へ通い、あれこれ薬を処方されているらしい。

多い時は15種類の薬を服用していたという。

 

「そんなに飲んだら、訳が分からなくなっちゃうでしょ?」

 

私が驚いて尋ねると、彼女は笑いながら答えた。

「まあ、最近は減りましたよ。」

 

そう言いながら、携帯している薬ケースから薬コレクション?を見せてくれた。

「これが痛み止め。これは××。これは●●の時に△△と一緒に飲むんですよ」

 

私は種類の多さに目をむいた。

これが最近はやりの?薬の飲みすぎってヤツ?(←ちょっと違うし、流行ってない)

 

思わず、彼女の顔をしげしげと見つめてしまった。

一体、彼女に何が起きたというのだ?

知り合った時は、こんなに薬漬け(そのワーディングもちょっと違う)じゃなかったと思うけど?

 

おまけに。

彼女は自称「メンタルがおかしい」という。

いやいや、おかしくなかったでしょ、以前は。

 

もともと、ちょっとずれたところのある子ではあったが、ここまでひどくはなかった。

何が起きたのだろう?

 

彼女の話を聞いていて、やっぱりなあと思ったことがある。

それは、「親の呪いが強すぎる」ということだ。

 

ご両親は、昔気質の男尊女卑的考えの方々だ。

娘である彼女は毎日罵倒されている。(親御さんも悪気はないんでしょうけど)

ご両親は年を取って体が思うように動かなくなった。

そこで、結婚せず同居する娘に八つ当たりしている様子。

 

しかも、親のストレスを受け取る方は、罵倒を受け流すことが出来ないくらい真面目。

そこに不幸がある。

 

気軽に罵倒する?親をまともに受け止めてたら、そりゃ毎日気分が滅入るでしょうね。

どうやら、一度もほめられたことがないらしい。

 

おまけに。

彼女のお父様はヘビースモーカー。

その受動喫煙で彼女は肺の病気になり、手術をしたという。

どういうわけか、腰にコルセットもしている。(もう、怖くて理由を聞けなかった)

病気のデパートと化しているのだ。

 

というわけでの、複数の診療科受診となっている。

満身創痍だな。

 

彼女には「出来るだけ早く親と距離を取るよう」アドバイスをした。

ご両親と離れれば、多少気持ちが落ち着くのではないかと思う。

心療内科の医師からも勧められているようだ。

しかし、一人暮らししたことのない彼女にはハードルが高いらしい。

 

「だって、もし働けなくなったら家賃払えなくなりますよ?」

「一人暮らしするなら、二度と家の敷居をまたがせない、って父から言われてるんです。」

「二度と家に帰れなくなると困ります。私、親の面倒を見ようと思って介護の資格取ったんです。」

 

…。(絶句)

君を虐待する親の面倒を見なくてもいいような気もするけど。

と私は思う(冷たい?)。

 

「万が一失業して一人で生活できなくなったら、しれっと「帰ってきちゃった~」と言って帰宅すればいいんじゃない?お父さんが何か言っても無視無視!」

 

なんて言ってみたが、彼女は恐怖にかたまっていて、私の言葉も響かない様子だった。

 

あーあ。

何となく、彼女の恐怖が分かる。

親に、「絶対お前には一人暮らしは無理」と刷り込まれているんだろう。

呪いとは、本当に強いものなのだ。

 

もしご両親が娘を過剰にけなしたり貶めたりするのをやめれば、彼女が服用する薬は半分になるだろうなあ。

あるいは、ガミガミ言う親を無視できるずうずうしさがあればねえ。

あくまでも、素人の推測ですが。

 

彼女の一言で、私もそうだなあと同意したことがある。

 

「働き続けることが出来なくなったら、家賃が払えなくなるのが怖いです。

安心して住める家があるといいんですけどね。」

 

本当にそうだ。

多分、日本全国に彼女のような人が何万人もいるだろう。

虐待から逃れ、自分が安心して住める家を渇望している人たちが。

 

親世代は、日本経済が上向きだったので家を買ったり貯金したりできた。

しかし、子世代は日本経済が衰退しつつある時代を生きている。

給料も据え置きだったりしてなかなか自宅が買えない。

 

そういう世代、特に正社員ではない人たちは、自分を虐待する親と長期間一緒に住むことを余儀なくされている。

しかも、「もう20歳過ぎたんだから独り立ちできるでしょ」とみなされ、公的支援対象外となる。

収入が十分じゃないのに、どうやって家を買うんだよ。

 

大体、企業が生き延びるために正社員をカットし、非正規を増やしたことに日本社会衰退の元凶がある。

日本人を不幸にしたのは企業のせいだ。(そしてそれを許した政府のせいでもある)

社員の給料が払えない会社は、そもそも人を雇用してはいけないんだよ。

…なんてことを今、ここで論じても仕方ない。

 

安心して住める住宅は、水道などと同じように人間の生活に不可欠なものだ。

しかし、「自宅を持っていることはぜいたく」と日本では思われているように感じる。

 

「衣食住」というくらいなんだから必要品なのに、なぜ自宅を持っていると「ぜいたく」とみなされるんだろうか?

だって、住所が無かったら就職も出来ないですよ。

ウクライナの戦争を見るまでもなく、「安全に眠れる場所」って衣服や食料以上に重要だと思うのだが。

 

「誰でも家を買えるようにする」という住宅政策に取り組んでいる政治家を見ませんなあ。

国の経済発展よりも、国民が安全な家に住めることの方が優先じゃないでしょうかね。

 

今はありがたいことに、日本の人口は減っている。

人口が減れば、安全な住宅が買いやすくなるのではないかと期待しています。

 

話が脱線しすぎた。

 

我が家に泊まった彼女は、初日は緊張していた様子だった。

睡眠薬を服用しないと眠れないとか何とか言っていた。

 

二日目から、薬なしに眠っていたらしい。

おまけにぐっすり寝られるらしく、朝も寝坊するようになった。

 

それにしても。

彼女の親御さんがアメリカ人だったら、と想像する。

 

「私のかわいい子!」

「うちの自慢の娘」

「愛してるよ!」

「いつでも帰っておいで!」

 

なーんてポジティブな言葉の嵐を毎日浴びせ、娘をありのまま受け入れ可愛がっていたら。

娘は15種類も薬を飲まなくてもよかっただろうに。

(甘やかされ過ぎると、また別の問題がいろいろあるんだろうけど 笑)。

 

ちゃんと食べること、ストレスを発散すること、実家以外の行き場を作ること、薬を減らすこと、運動すること。

そういう小さいことでも、今の状況を改善するのに効果があるんじゃないかと思う。

 

帰宅する彼女を、駅まで見送った。

来た時とは違い、だいぶ態度がでかくなっていた(笑)。

ま、いいことだ。

 

GWにちょっと実家を離れただけでも、だいぶ気持ちが軽くなったのかもしれない。

次回は元気になっていることを祈る。