オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

ゼレンスキー大統領

 

ジャカルタウクライナ大使による講演をYouTubeで視聴した。

という記事を先日書いた。

その講演の主催者はインドネシアの団体。(だから在インドネシア大使なわけだ)。

講演は英語だったので視聴したのだが、なかなか興味深かった。

 

その主催者から、また連絡があった。

今度はゼレンスキー大統領の講演だという。(キーウからオンラインでの講演となる)

参加無料、英語通訳付きなので申し込んだ。

 

それにしても、ゼレンスキー大統領。

精力的に海外へ発信しているのだなあ。

ウクライナの現状を他国に理解してもらいたいんだろう。

国家元首としては当然だ。

 

おまけに、東南アジア諸国はロシアに対する経済制裁に加担せず、「中立」の立場を取っている。

ウクライナとしては、アジア諸国は傍観者を決め込まずに積極的に自国を支持してほしいところですよね。

 

というわけで。

ゼレンスキー大統領がインドネシアに何を語るか、気になったので視聴を申し込んだ。

 

YouTubeの画面に出てきた司会者(インドネシアの大学教授)。

最初は音声が途切れたり司会者がインドネシア語でしゃべっていたりして、ちょいと不安だった。

 

ゼレンスキー大統領が登場してからは、司会者が英語を話し始めたので安心した。

ちなみに大統領はウクライナ語で講演し、同時通訳(英語)が入るという形式だった。

 

大統領が語った内容は、特に新しいことではなかった。

新聞やネットで報道を読んでいる人なら、報道が事実であることが分かると思う。

(しかし、大統領自らが語るとまた現実味が増すように思いますね)

 

ロシアによる侵攻で、ウクライナ経済が壊滅的になったことから講演は始まった。

工場や製鉄所など、産業インフラにミサイルが撃ち込まれた。

畑に地雷が埋設され、農業に支障が出るようになった。

 

港が占拠され、列車の駅が破壊されたので、穀物を収穫しても輸出するすべがなくなった。

ウクライナの小麦はサイロに山積みになったままだ。

すでに同国経済は50億ドルの赤字となっている。

そんな話が続いた。

 

視聴者のインドネシア人学生からは、『経済の話よりも戦争の話を聞きたい』なんて声も上がった。

でもさあ、国の指導者なら「経済をどうやって立て直そう」てのが、第一に考えることだと思いますよ。

経済=国民の生活ですから。

別の見方をすれば、大統領は「戦後復興」をすでに思い描いている、ともいえる。

 

インドネシアウクライナG20に招待した。

インドネシアのジョコ大統領に感謝している、とゼレンスキー大統領は言っていた)

前出のエネルギー危機と食料安全保障は、G20の議題にもなるだろう。

 

で、肝心の「停戦もしくは終戦」について。

最近、色々な人が「戦争の落としどころ」についてあれこれ(無責任な)提案をしているようだ。

 

たとえば、

クリミア半島をロシアに差し出せば、許してもらえるんじゃないか」

「ドンバス地方をロシアに割譲したら?」

ウクライナ領土を分割してロシアに与えるという約束をすれば、ロシアは戦争をやめてくれるんじゃないの?」

とか、そんな具合だ。

 

私がウクライナ人だったら、そんな提案は絶対に受け入れられない。

なんで領土を差し出さにゃならんのだ。

 

ゼレンスキー氏は大統領になって3年の間、ロシアと平和裏に交渉しようと思ってきたという。

彼の懸念はこうだ。

「もしかすると、ロシアはウクライナが独立国家と思っていないのではないか?」

 

うーむ、ありえますね。

三者から見ても、何だかそんな感じがする。

「もともとソ連の構成国だったし、どうせ俺(ロシア)の言うことを聞くだろう」と思ってたのかもしれん。

 

ウクライナは独立主権国家なので、自分自身のことは自分自身で決めることが出来るはずだ。

EUに加盟したいとか、NATOに加盟したいとか。

ロシアが決めることではなく、ウクライナ国民自身が決めることなのだ。

 

って大統領は言ってました。

(大統領の言ってることは正論だが、それが気に食わない人もいるから困るんですけどね…)

 

私も、今年は勉強になった。

暴力で他国を従わせようとする人が(21世紀になってもまだ)いることを学んだのだ。今年。

今まで様々な戦争があったが、「第三次世界大戦」勃発が危惧されるほどの戦争は今年が初めてですよね。

 

2022年は、国際関係学を学ぶ人たちにとってエポックメーキング的な年になっただろう。

今年を境に、世界はまた東西冷戦に突入した。

というか、潜在的対立が顕在化した、だけなのかな~。

 

今年の何がすごいって、世界の動きとその速さですよ。

200年も中立を維持してきたスウェーデンまで、NATOに追い込むとはねえ…。

いろいろすごすぎる。(←語彙が貧困ですみません)

だんだん、頭が追い付かなくなってきた。

 

だってロシア、ウクライナだけじゃなく、フィンランドスウェーデン、トルコ、イスラエル、インド…登場人物が多すぎるのよ。

しかも複雑な人間関係(国家関係)相関図。(図を書かないと理解できん)

余りに多くのことが同時進行で、もはや整理できなくなってきた、キャパの小さい私の頭。

 

この戦争で、あまり知らなかったモルドバの歴史なんかも勉強した。

前から関心のあったチェチェンとかのあたりについても、付け焼刃だが歴史本を読んでおこうかな、と思っている。

 

それにしても、テレビに出演する専門家たちの頼もしいこと。

ウクライナ研究なんて今まで日の目を見なかった?オタク分野かもしれんが、研究者がいて良かった。

政治家も、博士号取得者をじゃんじゃん活用してほしいものだ。

やはりオタクは人類を救う。

 

今は情勢が流動的だが、戦争が終わったら「あの戦争とは何だったのか」を関係者には検証してほしい。

そして、「今後、世界はどこへ向かっていくのか」「どうすれば平和を実現できるか」を考えるべきだ。

もともと、国際関係学のスタートは第一次世界大戦の反省だったわけだし。

 

「我々は、自分の国で平和に暮らしたいだけなのだ。」

 

そう言っていたゼレンスキー大統領。

それが出来るよう、私も陰ながら応援したいと思っています、大統領。

――

 

余談だが、フィンランドのマリン首相が来日時に言っていた。

 

「日本は大変ですね。中国、ロシア、北朝鮮に囲まれて。」

 

そ、そうですかい…。

まさかフィンランドに言われるなんて思わなかった。

ロシアの隣国でフィンランドはかわいそうだな、と思っていたが、日本も安心できる状況ではない。

国ガチャに勝ったような気がしていた?が、そうでもないかな。

(私は個人的には「あの国が××」とラベリングするのは好きじゃないけど)

 

イラク戦争とかベルリンの壁崩壊とか同時多発テロとか、世界はいろいろ変わってきた。

それでも、2022年は今年生きている誰の記憶にも残る年になるだろうな。

早くゼレンスキー大統領がゆっくり休める日が来ることを願っている。

 

本日(5月28日)の新聞。オンライン講演には、79カ国から視聴者が参加したらしい…