先日、本棚を整理した。
油断しているとすぐに本が増えてしまう。
なるべく図書館を利用して新しい本を買わないようにしている。
しかし、どうもうまく行かない。
書店で本を見ていると立ち読みしてしまうし、読むと欲しくなる。
気づいたらレジに並んでいる。
私は、誕生日に図書カードをもらうことが多い。
図書カードを財布にしのばせて書店へ行ったら、もう最後だ。
手ぶらで帰宅することはない。
こんな感じで着実に本が増えている。
先日は私の誕生日だった。
誕生日プレゼントとして、また図書カードをもらった。
すると、翌週には本棚にちゃんと新しい本が増えていた。
どうやらフラフラと書店へ行き、意識がもうろうとしたまま、新しく本を何冊も購入したらしい。
書店へ足を踏み入れたとたん、記憶喪失に陥るようだ。
以前、書店へ行ったら、やはり立ち読みしているうちに欲しくなった本があった。
もう、前後不覚になっているのでレジにフラフラと進む。
レジには普段は4,5人の店員がいるのに、その時は2人しかいなかった。
当然、お客さんの行列になる。
私はその行列の最後尾についた。
なかなか列が進まないが、欲しい本を手にしているので幸せな気分だ。
並んでいる間、カバンから財布を取り出して開けた。
思わず目を疑った。
財布に13円しか入っていない!!
(お金を入れてこなかったのか?)(汗)
ヤバいヤバいヤバい…と思いながら、慌ててレジ前の列から脱出しようとした。
(ん?)
財布の中で、運転免許証とかカード類が入っているところに目が止まった。
これはもしや?
引き抜くと図書カードだった!
よっしゃ!(←生き返る)
こんなことを年中繰り返している。
本が増殖するので、定期的に本棚を整理している。
先日は、かなり前に買った本や文庫本、旅行本などを整理した。
そして、それらの本を部屋の隅に積んでおいた。
不要な本がたくさんあるときは、古書店を呼んで持って行ってもらう。
でも、今回は量が少ない。
不要な本がもっと増えるまでは、とりあえず部屋の隅っこに置いておけばいいや。
(ためこんじゃいけないとは思うが、量が少ないと自分で店舗へ持参しなきゃいけないですしね)。
ある日。
DMが私宛に来ていた。
国際協力系のNPOからだった。
以前、古切手を大量にため込んで寄付したことがある。
それで、何かのご案内がそのNPOから送られてきたようだった。
「お金を寄付したいのはやまやまだけどさあ~。私だってお金ないんだよ」
私はいつものように自分の住所と名前を消して、そのDMをゴミ箱へ捨てようとした。
ふと、そこに書かれていた文字に目が吸い寄せられた。
「本、CD、ゲームソフトでワクチンを送ろうキャンペーン」
む?
私はそのチラシをよく読んだ。
そこにはこんなことが書いてあった。
「ご自宅、会社や学校に眠っている不用品が子どもたちの笑顔に!」
読み進めて分かった。
古本や視聴しなくなったCDをこのNPOへ送ると、ブックオフが買い取ってくれるのだという。
そしてその買取金額+10%がこの団体へ寄付されるらしい。
この10%は、なんとブックオフからの協力金のようだ。
(やるのう、ブックオフ…)。
さらにこのキャンペーン期間中、この団体の専用サイトから申し込むと、古本やCDを自宅からこのNPOへ送る料金が無料になるんだとか。
それはありがたい。
私から送る古本の送料が無料になり、さらに寄付金額に10%、ブックオフが上乗せしてくれるわけだ。
私はそのチラシの裏を読んだ。
なんでも、古本10冊で約200円になるらしい。
200円あれば、ポリオワクチン10人分になるという。
「古本10冊ねえ…」
ちょうど、本棚を整理したばかりだ。
不要になった古本もある。
タイミングよいこと、この上ない。
でも、不要な本は10冊もないのよね。
ごめんね、今回は縁がないや。
私はニヤニヤしながら、チラシを捨てた。
念のため、部屋の片隅に山積みになっていた本を数えた。
なんと、11冊あった。
私はもう一度数えた。
やっぱり11冊だ。
うーむ。
出来過ぎている。
どうもタイミングよく、神様がこのチラシを送ってきてくれたらしい(いや、送ったのはNPOだが…)。
私は感心して本を二度見した。
ポリオワクチンは、経口ワクチンである。
投与は簡単で、口の中にポイっと入れれば終了だ。
看護師や医者でなくても投与できるし、子どもの頃にポリオワクチンを投与しておけば、一生ポリオにならなくて済む。
医療従事者が接種しなければならない他のワクチンと違い、比較的投与しやすいワクチンと言える。
十分な医療従事者がいない途上国でも、ワクチンさえあれば予防できるのだ、ポリオって。
だから、国連や国際機関は必死に「ポリオ撲滅キャンペーン」を実施しているのだ。
しかし、ポリオはいまだに絶滅していない。
一時、ポリオは絶滅しかかった。
「ポリオが残っているのは、もうアフガニスタンとパキスタンしかない」
とか言われていたこともあったが、残念ながら盛り返したようだ。
私はこの団体のHPにアクセスしてみた。
どうやら、ラオスとかミャンマーでもポリオワクチンを投与する活動をしているらしい。
ってことは、「アフガニスタンとパキスタン」だけではなく、アジアの貧しい国で再びポリオが見られるようになったわけだ。
でもさ、考えてもみたら当然かも。
アジアの国は陸続きなんだから、人間の移動があれば病気だって移動するでしょ。
コロナだってそうやって拡大したんだからさ。
私はNPOへ送るために、本を入れる箱を探し始めた。
ちょうどいい箱がなかったら、残念だけど送付出来ないんだよねえ~。
あ、あるじゃん。
ふだんは箱なんて家に見当たらないのだが、その時はたまたまちょうどいい箱があった!
これは、友人が私の誕生日祝いにお菓子を送ってきてくれた時、お菓子が入っていた段ボール箱だ。
小さい段ボール箱は使いやすいので、取っておいたのだ。
本が入りそうな小さい箱が我が家にあること自体、一年に一度しか発生しない。
しかも。
不要な本11冊を入れて見たら、ちょうどぴったりその箱に入った!
すごすぎる。
古本を送ろうキャンペーンで送料無料。
古本もちょうど11冊ある。
それがぴったり入る箱も、タイミングよく家にあるのだ。
もう、神。(キラキラ)
アジアの子どもへワクチン供与をするべく、私はひたすら背中を押されているとしか思えん。
こうなったら、11冊の古本を「送料無料」で寄付するでしょ、誰だって。
200円で10人の子どもが助かるなら、私の古本だって本冥利に尽きるだろう(ホントか?)。
本を箱に詰め直しながら気づいた。
よく考えてみると私は好き放題、本を買っている。
コロナワクチンだって、日本政府から無料で接種してもらった。
こう考えると、世の中の不条理を感じる。
生きていてもそんなに役に立たない?私がワクチンを無料で接種することができ、未来ある子どもが接種してもらえないとは。
これが「国ガチャ」ってやつですかね。
まあ、四の五の文句を言わず、さっさとワクチンキャンペーンにエントリーして本を梱包することだ。
考えるより行動しなくては。
考えたり悩んだりするのは、そのあとでいい。
毎月、一つは社会に何か役立つことをやろう!
と思っているのだが、なかなかそうもうまく行かない。
高額なお金を寄付することは難しいし、出来たとしても長続きしない。
なので、結局「不要な古切手を集めて送る」とか、「不用品を寄付する」とか、ささやかなことになってしまうのだ。
もちろん、「どうせ自己満足でしょ」という批判はあるだろう。
でも、それでいいと思っている。
送料無料で古本が処分出来て。
それで誰かの命が助かる?
部屋もスッキリする?
上等でしょ。
早く送付しなければ…と梱包を終えて気づいた。
偉そうなことを書いたが、よく考えるとなんか違う。
だって、送る本だって誰かからのプレゼントの図書カードで買った本だし、箱も友達からのプレゼントが入っていた箱だ。
送料だって、NPO持ちじゃねえか!
するってえと(←なぜかべらんめえ調)、私個人が自腹を切って出した費用は?
…ゼロだ。
もう、笑うしかない。
誰かの幸せのために、右から左へとリソースを移動させるだけの要員なんだ、自分。
と思えば、悪くない。
無償で労働力を提供しただけだが、それでさわやかな「自己満足」がいただけるなら、もう言うことないや。
ホント、10人の子どもたちよ、幸せになってくれよ。