オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

北枕

 

迷信。

以前は信じられていたが、今はほぼ誰も信じていない「昔の遺物」。

迷信は根拠もなく、科学的に証明されていないもの、というイメージがある。

 

しかし、「信じる必要が無い」と一刀両断に出来ないものもあるんじゃないの?

つまり、何らかの科学的根拠や文化的背景があって成立した迷信だってあるはず。

 

私はそう思っているので、古代人類の知恵から生み出された言い伝えは尊重している。

昔の人の失敗体験を反映した迷信は、「誰かが同じ轍を踏まないよう」注意喚起で作られたと思うからだ。

 

なので、「迷信」「言い伝え」を聞くたび、その迷信の背後にある現象を考えるようにしている。

そして「それは真なり」と納得できるものは信じている。

 

例えば、「夜に爪を切るとヘビが来る」。

 

(この記事に登場する「迷信」は、地方によっても内容や言い方が違うと思います。

ですので、「そんなの知らないよ」という方もいらっしゃるはずです。

そういう場合は、適当に読み流してください)。

 

これは、私が幼稚園に通っていたころに親から聞いた「迷信」。

私は、夜にお風呂に入って寝る段になると、足の爪が伸びているのが気になるのだ。

 

「爪、伸びてるな~明日になったら忘れそうだから、今切っちゃお」

 

と、寝る前に爪切りで爪を切る。

すると両親はいつもこの迷信を持ち出し、「ヘビが来るよ」「明日朝、明るくなってから切りなさい」と言っていた。

 

なんだよ、その迷信。

怖くないよ。

と思いつつ、ヘビは嫌だなあ、と思った記憶がある。

 

大人になったらわかる。

「夜は暗くてよく見えない。無用なけがを防ぐためには、夜に刃物を使わない方がいい」

という戒めであったことを。

誰だってヘビが来たら嫌ですよね。

 

その「迷信」の意図が分かった今。

私は反省もなく、いまだに思いついた時に爪を切っている。(夜もね)

しかし、この「迷信」の意図するところは理解できるので、夜に刃物を使う際は気を付けている。

 

こんなのもあった。

「鏡を表にして置くと、魔物が出てくる」。

 

(どういう言い方だったかは忘れたが、鏡を出しっぱなしにするな、という意味だった気がする)。

 

この「言い伝え」?も、母に言われた時に意味が分からんかった。

鏡から出てくる魔物ってなんだ?

 

だが、鏡を見ていて、

「うーん、確かにあっちの世界?から妙なものが出てきたら嫌だな」

と思ったことはある。

なので、鏡は使用したら必ずちゃんと片づけていた。

 

ある時。

化粧をした後に鏡をしまうのを忘れ、鏡を床にうっかり置きっぱなしにしたことがあった。

その日は慌てていた。

 

「うわ~時間が無いよ!」

と待ち合わせの時間に遅れそうになり、室内をドタドタ走っていた。

そして、床に置きっぱなしになっていた鏡を踏み抜いてしまった。(やると思ったよ…)。

 

「うわ~!!!」

 

鏡が飛び散り(そりゃ重い体重が乗ったからねえ)、大惨事になった。

 

なぜ踏んでしまったのかというと、表になっていた鏡に天井や物が写っていた。

なので、「そこに(鏡という)異物がある」と認識していなかったのだ。

風景を反射しない物体なら(本とか服とかね)、「あ、あそこに物がある」と意識して避けていたと思う。

 

これ以降、鏡を床に置く場合は(そもそも置いちゃだめですが)、「錯覚しないよう裏返しておく」ようにしている。

こんな感じで、読者の皆さんも気になる「迷信」とか守っている「言い伝え」があるんじゃないかと思います。

 

もう一つ例を挙げる。

「靴下をはいて寝ると親の死に目に会えない」という迷信。

 

私はこれを必死に守ってきた。

だって、「親の死に目に会えない」って結構強い呪いじゃないですか?

 

しかし、冬の寒い晩は、本当に耐えられなくなることがある。

靴下をはけば温かく眠れるのだが、「親の~」という迷信がどうも頭にチラつく。

そして、毎年湯たんぽやら何やらを駆使し、眠れない冬の夜を乗り切ってきた。

 

だが、最近「温活」に凝り始めた。

雑誌を読むと、「冬は靴下をはいて寝るが良い」みたいな記事が書いてある。

 

いいのか?

寒いので靴下をはきたいが、親孝行できなくなると困る…。

靴下がどうやって親の臨終につながるのかが不明なんだけどさ。

 

ある冬。

私が冬の晩に寒い寒いとふるえていると、うちの母が言った。

 

「冬は靴下をはいて寝るといいよ!足が冷えないから、すぐ眠れるよ!」

 

…あんたが娘に勧めるんですかい?

いいのか…。(複雑)

 

「親の~」という迷信を持ち出すと、母は首を振った。

 

「私もそう思ったけどさ、寒くて眠れないんだもん!」

 

なるほど…実利を取ったわけだね。(ホッ)

それ以来、冬は靴下を着用して温かく眠りについている。

未だに心理的抵抗はかすかにあるが、安眠には勝てない。

母に勧められて、(いいのか分からんが)呪いから「解放」された感じだ。

 

「北枕が良くない」なんてのもありましたね。

これは、お釈迦様が亡くなった時に北枕だったから、というのが理由らしい。

なーんだ、じゃあケガを防ぐためや道徳縛りの迷信じゃないじゃん。

 

この迷信も、私は長い間かたくなに?守ってきた。

日本国内で転居しても、海外に住んでも。

寝る際は「南枕」または北以外、にこだわってきた。

 

しかし、今の家に転居してきて、はたと困った。

 

部屋のドアの位置の都合上、どうにも南枕にすることが難しい。

南に枕を置いた場合、「誰かがドアを開けたらすぐ私の顔がある」状態になってしまうのだ。(それも怖い)

 

部屋の中で、あれこれベッドの向きを変えてみて思った。

「ベストは、北枕だ!」

 

しかし…。(←心理的抵抗)

北枕は縁起悪いしなあ…。

 

仕方なく、南枕にして寝ていた。

寝ると、顔の前にドアがある。

落ち着かないのなんのって。

 

で、また部屋の模様替えをした。

やっぱ、北枕にするのがレイアウト的にベストだ。

 

でもなあ…北枕…縁起悪いんだよね?

何度もそう思ったが、もうこれは靴下と同じ。

実利を取るしかない。

 

思い切って「北枕」にしてみた。

北枕にした最初の頃は「お釈迦様もこんな感じだった」と色々妄想して、死体になった気分だった。

枕辺にゾウやキリン、猫や犬、クジャク等動物たちが来てくれるんなら、死体になってもいいけどさ…。(涅槃?)

 

すると、あ~ら不思議。

南枕にしていた時よりも、はるかにぐっすり眠れるようになったのである。

 

な~んだ。

もっと早く北枕にしておけばよかった。

(結果オーライ)

 

その後、快眠の本(←好きねえ)を読み漁ってみた。

それらによれば、北枕は縁起が悪いかもしれんが、健康には良いらしいのである。(理由は覚えてません)

 

うん、これはホント。

だって北枕にしたとたん、ものすごくよく眠れるようになったもん。

 

このブログの読者の皆さんの中には、私同様、睡眠が大事!という方もいらっしゃるんじゃないだろうか。

南枕だとイマイチよく眠れないんだよね、という方は、だまされたと思って「北枕」をやってみてほしい。

(北枕でも眠れない場合、すみません、南枕に戻してください 笑)

 

なぜ、こんな「迷信」を思い出したのかというと、最近「キタマクラ」という名前の魚がいることを発見したからである。

キタマクラは毒を持っている魚だ。

人間が食べるとあの世へ行ってしまい、「北枕」で寝る羽目になるから、ということらしい。

 

しかし、かわいそうなネーミングの魚だ。

同様に毒をもつ「ふぐ」なんて、別名「フク」(=福)とか呼ばれる。

フグだって、下手したら北枕にお世話になるはずなんだが…。

 

ところで、「キタマクラ」の写真を見たときにドキッとした。

インドネシアのマカッサルへ行った時にハコフグ料理を食べたのだが、これが「キタマクラ」によく似ていたのだ。

 

「あれ?私、キタマクラを食べたことあるかも」

と思ったが、そうしたら今頃生きているわけがない。

 

調べたら「キタマクラ」はカワハギの仲間らしいのだが、なんとフグ目なのだという。

なーんだ。

毒をもつ魚同士、同じ種類なんですね。

 

魔物だのキタマクラだのヘビだの、迷信とは人をおどかして行動を縛るものなんだろう。

今では私は冬に靴下を履き、北枕で大変ぐっすり寝かせていただいている。

自分を利する迷信や自分を幸せにする言い伝えだけ、都合よく信じておけばいいんではないの?と思っている。