オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

採用基準

 

友人の一人Pさんが、雇止めに遭うことになった。

契約更新されず、今秋で業務が終了するという。

 

やっと見つけた仕事なので、自宅からものすごく遠方だが頑張って通う。

自分がやりたい仕事だったので、多少の不便は我慢しなくちゃね。

そんな話を2年前に聞いたばかりだった。

 

よく聞く話ではあるが、身近にそういう事実が発生すると認識を新たにする。

「雇止め」ってよく聞くけど、ホントよくある話なんだな…。

 

Pさんも、これからまた就職活動をすることになるだろう。

10代、20代の若者ならすぐに採用してもらえるが、年齢を重ねるに従い、採用される確率が低下していくのも事実。

でも、すぐに採用されなかったとしても落ち込まないでほしい。

 

私も、不合格にされた経験がたくさん沢山タクサン、数えきれないくらいある。

 

「あんたの年齢じゃあねえ」(お前もいつかは年を取るんだよ)

「海外にいたなんてどうせ生意気なんでしょ」(私を知りもしないで判断するな)

「女のくせに英語が話せるなんて嫌ですね」(私は大して話せないけど、留学経験者はたいてい言われていた)

 

面接で理不尽な質問やパワハラ、セクハラ、モラハラめいたこともよく言われた。

それらの企業名は明かさないが、まあ男性面接官たちにはひどいことを言われ続けた。

バカバカしいので腹が立ったが、録音しておけばよかった(笑)。

 

不合格、不採用が何十社も続くと、自分を全否定されたように感じる。

「世界のどこにも居場所が無い」「自分はダメ人間」と悩む。

自分がいくら頑張っても、人事担当者の胸一つで採用されないのだ。

 

でも、採用されなかったと言って、自分に非があるように思い込んでほしくない。

もちろん、求人内容と応募者の職歴が合わないとか、そういう理由で不合格になることはある。

 

しかし、選考者に見る目が無いというパターンも大いにあります!

私の知る限り、そういう方がむしろ多い気がする。

 

もう時効と思うので告白すると、以前こんなことがあった。

 

私の職場でのこと。

すでに契約社員などで就業している人のうち、1名を正社員にするという機会があった。

どういう理由かはわからないが、上の人たちがそう決めたらしかった。

 

2名の契約社員がいた。

そのうちの1人を正社員にすることになった。

 

30代のA子さんは、自分から希望して正社員に名乗りを上げた。

そしてもう一人、50代のB氏は、上司たちが「彼を正社員にしてはどうか」と推薦したのだという。

 

たまたまだが、私はA子さんとB氏の両方と一緒に仕事をしたことがあった。

だから、上司が「あの二人、どうなの?」と私の意見を聞いてきたのだ。

 

A子さんは堅実な仕事ぶりで、一緒に仕事をしていて気持ちのいい人だった。

本人が正社員になりたいなら、いいんじゃないだろうか。

優秀だし、本人もやる気があるし。

 

B氏は、仕事をしたいという気持ちは薄かったようだ。

共働きの奥様が高収入とかで、子どももいないのでむしろ僕は専業主夫になり妻を支えたい。

そんな希望を持っていた。

 

だから、なぜB氏の名前が出てくるのだ?と私は不思議に思った。

 

「A子さんは優秀ですし、本人も正社員になってバリバリ働きたいみたいですよ。

彼女なら、良い社員になると思います。」

 

そう私の意見を言うと、上司は妙な表情になった。

そしてこんなことを言った。

 

「でもねえ、Bさんって男性だからねえ。

やっぱり正社員にならないと、世間的にアレでしょ?」

 

アレ?

アレって何ですか?

 

「Bさんは、専業主夫になって奥様を支えたいと言ってましたから。

むしろ退職を視野に入れていると思います。」

 

上司の思惑をよそに私がそう言うと、上司は考え込む顔になった。

 

「A子さんはまだ若いから、うちじゃなくてもいくらでも転職できるでしょ。

Bさんはあの年齢じゃ、誰も雇ってくれないでしょ。

かわいそうだから、Bさんを正社員にしようと思ってるんだよね。

男性だし、正社員じゃないと世間体がねえ」

 

は?なんでB氏を正社員にしたいのだ?かわいそう?

上司たちの論理がさっぱり解せぬ私。

B氏は『正社員になりたい』なんて一言も言ってない。

正社員になりたいのはA子さんだ。

 

よく考えると上司の発言は、まるっきり昭和の考え方だ。

(昭和が悪いというわけではないが…)

 

契約社員だと世間体が悪いので、男性は正社員として働くべき(そして女性は夫を支える存在)。

そんなのはB氏の生活スタイルではない。

Bさんご夫婦には彼らの生活があり、「昭和の理想」を会社が押し付けるのもどうかと思うが…。

 

そして面接の結果。

正社員を希望していたA子さんは不合格となり、専業主夫願望のB氏が合格。

上司たちの考えを反映した結果なのだが、二人を知る私としては納得がいかなかった。

 

私としては、仕事の確実なA子さんが合格してくれればいいのにと願っていた。

B氏は「早く退職して妻の支えになりたい」と言っていたのに。

意に反して正社員になるための面接を受けさせられ、こんな結果に面食らっているのではないだろうか。

 

A子さんは正社員になれなかったので、会社を去った。

正社員になったB氏は「本当は正社員になりたくなかったんですが」と私にこぼしていたが、半年くらいして退職した。

 

結局、会社としてはどちらとも逃す羽目になったのである。

A子さん、B氏のどちらも不幸になる結果になってしまったのだ。

 

こんな経験が、実は私にはいくつもある。

私自身も人事の選考や面接に加わったことが何度かあるが、えらい方たちの考えはどうも違うようだ。

「会社が理想とするジェンダー(あるいは年齢)モデル」は、もはや時代遅れと思わざるを得ない。

 

50代男性なら正社員で管理職になるのが当たりまえ。

30代女性なら契約社員で下っぱでいい。

 

そんなの誰が決めたんですかね。

しかも、21世紀の今もそれかい…。

 

というわけで(慰めになっているか心もとないが)、不採用だったからと言って落ち込まないでほしい。

面接とか人事や選考が本当に正しいかというと、そうではない気がする。

むしろ、あまりあてにならないと思う。

選考者の偏った考え方で合否が決定されるように思える。

 

この逆のポジティブパターンがあれば思い出したいのだが、全然思いつかない(笑)。

自分が会社を経営していたら、こんなアホな採用基準は廃止したいと常々思う。

 

だいたいねえ。

これだけ「人口減」「人手不足」と騒がれているのに、スキルやコツを身に着けた人を「雇止め」にする。

社長は一人で何億円も給料をもらっていたりするが、そんなに何億円も価値のある仕事がたった一人で出来るはずがない(勝手な決めつけ)。

 

一人の人間のできることはたかが知れている。

みんなでやるからこそ大きな仕事が出来るのだ、ということを忘れている裸の王様が多いこと。

 

「人手不足」のため、日本人を雇わずにベトナムとか海外の若者を安い価格で仕入れてくる。

働きたい日本人はたくさんいるのになあ。

ちゃんと給料を払えない会社は、日本人であれベトナム人であれ、労働者を雇ってはいけないんだよ。

 

こんな話も聞く。

「◎歳でないと」「この仕事は男性(女性)でないと」という断り方もある。

「キャリア形成のため25歳以下限定求人」とかね。

26歳でもいいじゃねえか。

 

26歳でも50歳でも男でも女でも。

やる気がある人なら採用しろや、選んでる余裕なんて無いんだから、と私なんかは思う。

100歳過ぎても仕事をしている人がニュースに取り上げられるが、自営の人ばかりでがっかりする。

 

こういう昭和的会社のビジネスモデルが一体いつまで続くんだろう…と暗澹たる思いになる。

 

どっかの30代の男性が言っていたが、日本社会に「在庫一掃セール」が無い限り、永遠にこの妙な採用基準や日本人を不幸にする労働システムは続くんだろう、と。

そして、企業にとって都合のいい法律ばかりが導入され、働く人の人生や家族はおきざりにされるのだ。

 

あーあ。

そんな会社に魅力があるわけないから、若い人が離れるんだよ…ってのを、安全地帯にいる方々は分からんのだろうな。

Pさんが次は良い会社に巡り合えることを心から祈る。