オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

隣の芝生

 

ドイツのベルンハルト君の甥っ子が、日本へ遊びに来ることになった。

我が家に泊まっていってもいいよ、と申し出てみたが、彼の行き先は北海道。

なんだ…(肩すかし)。

 

まあ、北海道は良い選択だ。

東京は、パリやロンドンといった他の大都市とさほど変わらないしね。

それより北海道の方が楽しそうだ。

食べ物はおいしいし、自然は雄大だし。

日本人の自分だって、北海道を旅行したいもん。

 

「で、君はいつになったらドイツへ来るんだ?」

とベルンハルト君。

いつって言われてもねえ。

 

職場の同僚によれば、

「燃料高騰で飛行機代も高くなったし、ホテルも高額になった。

ヨーロッパは貧乏旅行出来る場所じゃなくなってきたよね」

とのこと。

 

最近海外旅行をしていない私は、

「へえ、そうなんだ」

と思うしかない。

 

円安もあったし、日本人の給料は30年間下がりっぱなし。

海外旅行はまた高嶺の花になってきた、ということらしい。

外国人観光客からみると日本の物価は安いので、日本旅行は安上がりとか聞くしね。

 

そのことをベルンハルト君へ言った。

すると、ヤツはこんなことを言い出し始めた。

 

「んなわけないじゃん。

日本に比べたら、ヨーロッパなんて何でも安いぞ!

だってリンゴが1キロ当たり…」

 

出た出た。

「ドイツより日本の方が上」論が。

それこそ、「んなわけない」と私は思うぜよ。

 

ベルンハルト君によれば、ドイツの小売価格は現在こんな感じだそうである。

 

リンゴは1キロあたり2.5ユーロ。(約350円)

250グラムのバターは3ユーロ。(約421円)

1キロのパンは3ユーロ。(約421円)

1リットルの牛乳は1.5ユーロ。(約210円)

どうだ、ドイツの方が安いだろう?(どや顔)

 

現在、1ユーロは140.42円なんだとか。

それで計算すると、ドイツでは牛乳が1リットル210円となる。

 

スイスやフランスなど酪農がさかんな国と日本を比較するのはどうかと思うが…。

ドイツの乳製品事情が分からんので、「ドイツは酪農大国だから安いんだよ」とは言い切れん。

 

しかし、ベルンハルト君にも一理ある。

牛乳1リットル210円なら、ドイツの方が安価である。

 

でもねえ。

日本は給料が上がらんのだよ!

給料が上がって、牛乳の価格が210円なら天国じゃねえか。

隣の芝生は青い。

 

巷でこんなことをよく聞く。

日本は世界第3位の「経済大国」の座から転落し、ドイツに抜かれる。

ってことを。

つまり、1位:アメリカ、2位:中国、3位:ドイツ、4位:日本、になるそうである。

 

この「世界4位」とか「経済大国」ってのは、企業の利潤だけで見た話。

日本の庶民は給料が上がらないので、国民の生活レベルは世界23位と何かで読んだ。

ほらね。

ドイツの方がまだマシじゃん。(←“ドイツの方が日本より上”説)

 

誰かも言っていた。

ドイツは休暇も取りやすいし、病院や学校なども充実している。

移住したら最高の国なのだそうだが、いかんせん大きな壁がある。

それは「ドイツ語」なんだそうである。

 

うーん、分かる気もする…。

ドイツ語がなければ(習得が簡単な言語なら)、日本人の多くはドイツへ移住するだろう。

ということらしい。

 

私はドイツ北部しか旅行したことが無いし、ドイツ語も理解できない。

なので、「移住に最高な国」というのは、よく分からない。

でも、ベルンハルト君の生活ぶりを聞くと、「生活しやすい国」だとは分かる。

 

そんなことを考えていたら、ベルンハルト君が話題を変えてきた。

 

「だってさあ、君はハンブルグには行ったじゃん。

どうしてドイツ南部に来ないんだよお」

 

私がハンブルグ在住の別の友人・マルちゃん宅を訪問したことを、彼は覚えていた。

そして、「どうしていつも北部ばっかり行くんだよ」

と恨み節になった。

 

すいませんねえ…だってドイツ北部の方が旅行しやすいんだよ。

ドイツ北部なら、他の国から電車で気軽に行けるんだよ。

私だって、行けたらミュンヘンとか南部も行きたいよ。

でも、ウクライナ戦争の影響で「燃油サーチャージ」とか高いんだってさ、今!

 

それに尽きる。

この何年かで世界が変わった理由は、コロナと戦争だ。

コロナは気を付けるしかないとしても、ウクライナ戦争だよ、問題は。

 

日本は石油やガソリン価格が上昇しても、使用が制限されるまでには至っていない。

ドイツでは違うようだ。

先月、ハンブルグのマルちゃんが言っていた。

 

「最近、スーパーとか銀行では暖房をつけてないのよ!

真冬だってのに、寒くてしょうがない。

でも、これもウクライナ人のことを思えば我慢できる。

だって彼らはたきぎを燃やして、暖を取ったり食事を作ったりしているんだからさ。

我々ドイツ人が文句を言っちゃいけないんだと思うよ。」

 

…そうか。

ドイツ、すごいなあ。

と、私はドイツ人の我慢強さ?に感銘を受けたのである。

 

ドイツも他国から燃料を輸入しているから、燃料価格が高騰しているのは日本と同じだ。

だから燃料代節約のため、銀行も暖房を控えているわけだ。

ウクライナ人との連帯のため」コートを着こんで寒さを我慢し、ATMでお金をおろすドイツ人。

日本だったら、「寒いから暖房しろ」とクレームが殺到するに違いない。

 

もちろん、日本とは環境が違う。

ドイツはウクライナとは地理的に近い。

だから情報もたくさん入るだろうし、難民も多く受け入れているんだろう。

それにしても、だ。

 

私の知る限り、日本ではスーパーも銀行も暖房はついている。

となると、やはり日本の方が経済的に余裕があるのだろうか。

よく分からん…。

 

話は戻る。

ベルンハルト君を納得させるため、週末はスーパーで物価チェックを改めてやってみるつもり。

そして、彼の甥っ子だが、来月から来日する予定なんだそう。

3月の北海道は寒そうだが、ドイツだって寒いだろうし、大丈夫だろう。

 

彼の目に写った日本を、ぜひベルンハルト君に伝えてほしい。

「日本はそんなに天国でもない」と分かるんじゃないかと思う。

まあ、彼に言わせたら「ドイツだってそんなに天国じゃない」ってことなんだろうな。

何度も言うが、「隣の芝生は」ってことですよね。