オレンジの花と水

ブログ初心者の日記風よみもの

腹囲

 

腹囲、である。

 

字の通り、お腹周りの長さだ。

健康診断を受けた方は、腹囲を計ったことがあると思う。

私が健康診断を受けたときも、腹囲の測定があった。

 

これが問題だった。

私は腹囲を測定される際、うっかり「自然体」で計測されてしまったのだ。

 

もちろん、「わざとお腹をへこませてはいけませんよ」と計測担当の看護師さんに言われていた。

極端に息を吸い込むと、「自然にしてくださいね」と注意される。

なので、私はこっそり息を止め、お腹をへこませて計測してもらおうと思っていた。

誰だって、そうやっているに決まっている(決めつけ)。

だが、計測者と呼吸が合わなかったのだ。

 

私が息を吸い込んでいる間、看護師さんはメジャーを私のお腹に巻き付け、「このあたりですよね」なんてやっていた。

弛緩した瞬間(それを待っていたのだろうか?)、バシッと計測されてしまったのだ。

うかつだった。

 

どうやら、女性は「腹囲90センチ以下」が正常らしかった。

(以前の健康診断では、80何センチと言っていた記憶がある。

さすがに80何センチではやせすぎ?ってことになったのだろうか?)

 

で、「息を吸い込まずに、緊張感なく」弛緩した私のお腹。

なんと、90・5センチだったのだ。

「正常範囲」を超えた、というわけだ。

 

私もたかをくくっていた。

だって、わずか0.5センチですよ、オーバーしたのが。

それくらい許容範囲だろう…と思っていた。

しかし、そうは問屋が卸さなかった。

 

健康診断前に、セルフチェックシートに記入し提出する必要があった。

「喫煙するか」「毎日どれくらいお酒を飲むか」そんな質問が記載されているアレだ。

いくつもある質問の最後に、こんな質問があった。

 

「健康指導を受ける機会があれば、受けることを希望しますか。はい・いいえ」

 

私は迷った。

健康指導は希望したくない。

だって面倒くさいじゃないですか。

 

しかし、だ。

私は考えた。

 

仮に「健康指導を希望します」の「いいえ」を選んだとする。

そして健康診断の結果、不健康な点があったとしたら?

 

「健康じゃないくせに、健康指導を希望しないのか!」

「不健康なヤツに限って怠け者なんだよ」

 

こんな感じに、産業医とかから「健康指導を希望しない不健康者」と思われるんじゃなかろうか?

そういう危惧が芽生えたのだ。

ああ、気の小さい自分…でも世間体が気になる。

 

で、こう思った。

こういう場合、社会人の常識としては、「はい」に〇をつけた方がよいだろう。

「いいえ」を選択する心臓の強さはない。

 

その結果。

「健康指導を希望します はい」に〇をつけて提出したのだった。

 

で、先ほどの腹囲に戻る。

私の健康診断は何も問題が無かった。

血糖値、血圧、肝機能、腎機能…すべて問題なし。

唯一「腹囲」だけが、「正常値」をオーバーしていたのだ。

そして、「健康指導を希望します はい」に〇がついていた…。

 

仕事中に、私の携帯電話が鳴った。

見ると、知らない電話番号。

 

留守電にメッセージが残っていた。

「健康指導をしますので、ご都合はどうでしょうか」という趣旨だった。

いや、「健康指導を希望します」とは言ったものの。

指導してもらわなくて大丈夫。(じゃあ「はい」に〇をつけるなよ)

 

ほどなくして、また電話がかかってきた。

よし、電話に出るぞ。

「健康なので大丈夫です」という方向へ話を持っていこう。

 

しかし、敵もさるもの。

あの手この手で話を進める。

 

看護師さん「…というわけでですね、〇月×日はいかがでしょうか?」

私「え、えと…その日はちょっと…」

 

これも、いまいましい「腹囲」のせいだ。

「正常値」をオーバーしたので、「健康指導が必要」と判断されてしまったのだろう。

 

抵抗してぐずぐず話を引き延ばしたのだが、最終的に先方の粘り勝ちだった。

かくして、さほど希望しない健康指導を受けることになった。

そりゃ、「希望します はい」となっていれば、先方だって健康指導しなければ、と思いますよね。

すべて自業自得なんだが。

 

なので、読者の皆さんにはお伝えしたい。

自分が希望しない場合、「希望します」と返答してはいけません。

世間体とか、産業医にどう思われるとか、どうでもいい。

 

そして、健康指導の当日。

仕事がテキパキできそうな看護師さんが、私を待っていた。

健康指導は40分くらいで終わるのだという。

 

だって、腹囲が0・5センチ超えただけですよ!

息を吸ってお腹をへこませていれば、(たぶん)90センチに納まったはずだ。

くそっ!と思いながら、しぶしぶ看護師さんの前に座る。

 

看護師さん「健康診断の数値は、いずれも問題が無いですね。」

私「…」

(そうだよ、だから健康指導は必要ないんだよ)

 

看護師さん「腹囲が正常範囲を超えていますからね。これだけが問題です」

私「…」

(いろいろと悔しい)

 

そうして、まずは食事指導が始まった。

 

健康指導の日が決定してから、「たぶん食事指導をされるだろう」と予測した私。

なので、1か月間、毎日三度三度食事をすべてノートに記載した。

どうだ、健康な食生活をしているだろう!

というのを、看護師さんに見せてあげたかったのだ。

 

が。

カバンの中を探しても、ない!

一か月間、「私の素晴らしい食事を見せつけてやる」と思って日々記録したノートが。

ないのだ。

 

く~。

あまりにも自分がアホで、ますます悔しさが募る。

どうやら、自宅にノートを忘れてきてしまったらしかった。(すべて水の泡)

 

その話をすると、看護師さんも残念そうだった。

「一か月間の食事の記録を見るだけでも、栄養のバランスとか脂質取り過ぎかどうかわかるんですけどね」

ですよね。

 

たぶん、「腹囲が正常値オーバーのデブなら、揚げ物ざんまいに違いない」と思われているだろう。

気を取り直して、自分がいかに野菜中心の素晴らしい食生活をしているかを語る作戦に出た。

 

お酒は毎日飲んでません。

一日5,000歩は歩くようにしています。

揚げ物を食べる頻度は、一週間に2度までに抑えています。

外食時はバランスよく食べられる定食を選び、可能なら肉ではなく魚料理にしています。

寝る前は空腹になるよう、夕食後には間食はしません。

食事をとるときは最初に野菜を食べ、それからご飯や肉を食べるように順番を工夫しています。

 

看護師さんも、うなずきながら耳を傾けてくれた。

「それはいいですね!」

「お酒を飲み過ぎていないので、今のペースでいいですよ!」

「毎日歩いている?これからも続けてください!」

 

…でしょ。(←自慢げ)

私だって、それなりに努力しているのだぞ。

問題は腹囲だけですもん、腹囲だけ。

 

こうやって、私は先手を打った。

しかし、そのあとの看護師さんの反攻がすごかった。

 

卵は一週間に何回食べてますか?

え?そんなに食べちゃダメですよ!

せめて一週間に2回か3回くらいにしてください(一週間に2回?マジかい?)。

卵はコレステロール値が高いですからね。(完全にデブ扱い)

 

毎日5,000歩じゃやせないですよね。

6,000歩に増やしましょう。(そんな簡単にはいかんのだよ)

 

ご飯を減らしましょう。

茶碗一杯分だと多いですからね(そ、そうですか?)。

150グラムのところ、120グラムに減らしましょう。

そうすれば体重も減りますよ。(やはりデブ扱い)

 

そうして、私はいろいろな目標を設定させられた。

 

3か月で〇キロ体重を減らしましょう。(もはや無言)

「健康カレンダー」を差し上げますので、ここに記入して毎日頑張りましょう。

やっているかどうか、電話で確認させていただきますよ(ひえっ)。

 

鬼のように仕切る看護師さんであった。

こんな感じにバシバシしごかれて?気づくと1時間を過ぎていた。

熱血指導である。

 

そして、健康指導終了。

「頑張ってくださいね!電話しますからね!」

と笑顔で送り出された。

とほほ。

 

おみやげも多かった。

健康ストレッチ教室の案内、食事指導ハンドブック、ウォーキングアプリの案内。

お皿の内側が斜めになっていて、「醤油が切れるお皿」なんてのもいただいた。

(私は塩分多めの食事をしていないのだが、一応もらっておく)

 

あーあ。

「不健康」の烙印を押された気分である。

次回の健康診断では、なんとかして腹囲を1センチでも減らせるよう、ずっと息を止めているしかない。

(そこじゃない?)

 

というわけで、来月には鬼の看護師さんから電話が来る予定である。

「設定した目標を日々やっているかチェック」されるのだ。

端的に言ってしまえば、「やせろ」ってことである。

 

今から気が重い。

やせなければ。

それに尽きる。